去る6月26日、6月定例県議会において、一問一答をおこないました。その質問、答弁は次のとおりです。


         


(佐々木) 全国組織である「癌(がん)と共に生きる会」の会長として、日本のがん医療のあり方を大きく変えられた佐藤均さん(出雲市小山町)が昨年の6月28日に亡くなられ、1年になる。私も佐藤さんと知り合うことで、島根と東京では大きな医療格差があることを知らされ、この格差の解消、患者や家族の立場に立ったがん医療制度の確立のために行動を共にした。その結果、厚生労働省にがん対策推進本部が設置されるとともに、アクションプラン2005が策定され、この度、念願の「がん対策基本法」が成立した。島根県においても、島大医学部付属病院への腫瘍科の設置や専任医師の配置、県立中央病院の外来化学療法室の充実など、総合的な取り組みが進んでいるが、この法律を受け、がん対策推進計画の策定など、県では今後どう対応されるのか伺いたい。

(健康福祉部長) がん対策基本法は、がん医療の進展のために奔走された佐藤均さんが亡くなられて1年目の去る6月16日に可決・成立し、平成19年4月1日より施行される。この法律は、がん対策に関する国と地方公共団体の責務を規定し、がん知識の普及やがん検診の受診率の向上、専門医師等の育成、診断や治療に関する研究等の推進、などの諸施策を講ずることとしており、こうした対策を進めるため、県としては、がん患者の皆さんの声や本県の実情を踏まえながら、がん対策推進基本計画を策定することとしている。

 

(佐々木) がん患者とその家族は、肉体的な苦痛はもとより精神的な負担も大きい中、最近では、県内各地で患者同士が支え合う場としての交流サロンがオープンしており、佐藤さんの妻愛子さんも4月に出雲市に開所されている。こうした緩和ケアネットワークについての取り組みの現状と今後の方向性について伺いたい。

(健康福祉部長) 緩和ケアネットワークの構築については、平成14年度から各保健所を中心に関係者によるネットワーク会議を立ち上げ意見交換等を進めている。こうした取り組みから、患者さんや家族の情報提供や交流を行うためのサロンが益田・松江・出雲で開設され、大田も予定されている。県としては、今後とも緩和ケアについて普及啓発を行うとともに、医療機関などを中心としたネットワークづくりに取り組みたい。

 

(佐々木) この度、介護保険制度が変わり、40歳以上の末期がん患者に対しての介護サービスが始まることになったが、利用する側にとって必要な介護サービスの情報が広域的かつ手軽に入手できる仕組み作りが必要だと思うがどうか。

(健康福祉部長)  がん患者の皆様をはじめ介護サービスを利用される方々が最新の情報を手軽に入手できる仕組みは重要であり、この4月から「介護サービス情報調査・公表事業」をスタートさせ、秋からは営業時間や利用料金等を県のホームページで閲覧できるようにしたい。

 

(佐々木) 県内の拠点病院を中心にがん医療の充実を図る必要があるが、その先進的な役割を担うがんセンターの設立等についてはどう考えるか。

(健康福祉部長) 島大医学部に腫瘍センターや腫瘍学講座を開設する構想があり、県としても5月には文部科学省に支援をお願いした。県立中央病院でもがん薬物療法や放射線療法の充実強化を図ることとしている。また、地域がん診療連携拠点病院の医師の国立がんセンターへの研修派遣にも取り組んでいる。がんセンターの設立については、これらの取り組みを踏まえ見定めたい。

 

(佐々木) 県内には地域がん診療拠点病院が6ヶ所あるが、お互いに連携を図り、患者を紹介し合うといった機能分担をすすめるべきと思うがどうか。

(健康福祉部長) 提案にはまったく同感だ。すでに拠点病院から他の拠点病院に患者を紹介するといった連携が図られており、さらに拠点病院間の機能分担を具体的に進めるため、「がん診療ネットワーク協議会」で連携や機能分担について検討していきたい。

 

(佐々木) 拠点病院と地域の病院、開業医の皆さんの連携も必要であるが、拠点病院から地域の医師等を対象とした研修機会を提供され、患者さんを地域全体の医療体制で見守る体制を作っていくことをどう考えるか。

(健康福祉部長) 地域がん診療連携拠点病院は、地域の医師等に研修を行うことも指定要件の1つであり、17年度は6ヶ所の拠点病院で約50回の症例検討会や講演会が開催されている。この指定要件についてはさらに強化され、新たにがんの早期診断や緩和医療に関する研修の実施も求められるようになることから、各拠点病院に対して研修体制の充実を図るよう周知した。

 

(佐々木) 患者と家族の悩みは多岐に及び、誰にでも相談できないことから、がん医療に関する総合的な相談窓口を設けるべきだと考えるがどうか。

(健康福祉部長) 総合的な相談窓口については、現在、本庁医療対策課及び各保健所に医療安全相談窓口を設置している。また、地域がん診療連携拠点病院の指定要件の変更にもとづき、できるだけ早期に院内に相談部門を設けたい。

 

(佐々木) がん患者からは医療機関の医療機能に関する情報が求められており、県でもがん診療連携拠点病院の医療機能に関しての情報提供を検討するとのことだったがどうか。

(健康福祉部長) 各拠点病院の医療機能の情報提供については、がん患者の方々から、外来診療や緩和ケアに関する機能についての情報提供の要望もあり、がん診療ネットワーク協議会で最終的な了解を得て、県ホームページへの掲載や各保健所を通じた情報提供を速やかに実施したい。

 

(佐々木) がん治療の現場では、医師や看護師の勤務状況は過重になりがちだが、良い医療を行うためには労働環境も重要であり、改善も必要と考えるがどうか。

(健康福祉部長) 専門的な医療を提供するがん診療連携拠点病院等においては、期待される診療機能の発揮や医師等の確保のためにも、必要に応じた勤務条件の改善に取り組んでいただきたいと考えている。また、専門的な研修機会の確保も重要な勤務条件の1つであり、国立がんセンターでの研修等を引き続き要請したい。

 

(佐々木) 島根から動き出したこのがん医療推進の大きな流れの中で、島根県としてのがん医療の推進について知事の決意のほどを伺いたい。

(澄田知事) がん対策基本法の成立などがん対策推進の動きが目立ってきた背景には、故佐藤均さんの活動があることを忘れてはならないと思っている。私自ら、先般の国への重点要望において、がんの薬物療法や放射線療法を専門とする医師の養成、がん治療に係る新薬の速やかな開発・承認、承認薬の保険適用拡大などについて要望した。今後は、がん対策基本法に基づき、がんの予防、早期発見、診療機能の充実のための対策などを強力に推進し、患者の皆さん、県民の皆さんの期待や要望にしっかり応えていきたい。

                                  




                         






  

平成18年6月定例県議会(一問一答)