去る12月4日、11月定例県議会において、一問一答をおこないました。その質問、答弁は次のとおりです。

         


(佐々木)本県のがん対策推進計画が全国一と評価された理由は何であったか伺う。

(健康福祉部長)この全国の都道府県計画に対する評価の方法でございますが、各県の計画の項目のうち15項目を抽出いたしまして、それにつきまして点数をつけて評価したものです。例えば目標率ですとか中間評価の方法ですとか患者さんの会のあり方とか、そういったものについて評価をしております。本県が全国1位になりましたのは、全国的には国の目標数値を準用した県が多うございましたが、本県におきましては、がん死亡率あるいはがん検診の取り組みなどにつきまして、実情を踏まえて具体的な数値目標を明示した、こういう点が評価されたというふうに認識しております。



(佐々木)全国一の評価を受けたから、なおさら、その計画達成について全国から注目されていると思うが、今後の計画達成に向けた知事の意気込みを伺う。

(溝口知事)御指摘のように、計画を実行する、成果が上がらなきゃいかんわけでありまして、それに向けて一生懸命やってまいりたいと思います。この計画が評価された理由は、数値の上で説明ありましたけども、なぜそういうことになったかといろいろ聞いてみますと、この計画をつくる段階からがん患者の方々の御意見を聞いたり、あるいは患者団体の方々から意見交換などをして、皆さんから御意見をいろいろお伺いして、それを計画に反映をしたというところにあるわけでありまして、今後はそうした計画の中に盛り込まれた患者の方々の思いを実現できるように、さらに引き続き患者の方々の御意見なども聞きながら一生懸命取り組んでまいりたいというふうに考えております。



(佐々木)島大の附属病院、08年度着工、総事業費200億円ということで、がんあるいは救急医療の強化を図るというようなことが打ち出されております。県としてこの島大附属病院のこうした取り組みについてどの程度把握しているのか、また、どのような協力をしていく考えなのか伺う。

(健康福祉部長)御指摘の新病棟は、来年1月に着工されまして、平成23年度中に完工というふうに聞いております。集学的ながん治療、それから終末期の医療まで、同じ施設、同一の施設で継続かつ一貫したがん治療の提供を行う病棟の整備であるというふうに聞いております。しかしながら、今は整備計画の詳細についてはまだ聞いておりませんものですから、今後十分そうした点をお聞きした上で、県としての協力のあり方について検討してまいりたい、かように考えてます。



(佐々木)県外を含めた最近のサロンの活動の状況と、活動を県ではどのように評価しているのかを伺う。

(健康福祉部長)がんサロンにつきましては非常に重要な役割を現在果たしてるというふうに認識をしております。がんの患者さんが、お互いの経験をそのがんサロンで語り合われたり、あるいはそういった語り合いの中で不安が解消していったり、あるいは安心感を得ていくと。そういった自由な交流の場、極めて大切な場所であるというふうに認識しております。さらには、サロンのメンバーの方には、サロンから外へ出て自分の経験談をがんの研修会みたいなとこで語るとか、そういったことまでやっていらっしゃったり、そしてみずからがん対策募金に積極的に参加されるなど、そういったことまでやっていらっしゃっております。そしてまた議員御指摘のように、この島根のがんサロン活動は全国的にも評価されておりまして、サロン先進地島根というふうな名前までいただいているところでございます。視察が相次ぐという状況でございまして、患者、家族、医療関係者、県民の皆様が連携したこういった取り組みは、全国のモデルケースになったというふうに評価をしておるところでございます。



(佐々木)知事は、昨年のがんサロンの訪問や今年十月のランチミーティングを通じて、がん患者さんと直接意見交換をされたとのことだが、感想を伺う。

(溝口知事)昨年、松江市立病院のがんサロンにお邪魔をしまして、それから今年になりまして、そういうサロンに幾つかおいでの方々に県庁のほうにおいでいただきまして、ランチミーティングしました。やはり患者の方々が直接、さっきおっしゃったがん経験者と話し合える、それから自分の疑問をお聞きできる、いろんな情報を交換できる非常に有益な場であるというふうに感じております。そういう場で、皆さんもサロンに出ることによっていろんな情報を得たり非常に役に立って、この活動をさらに積極的にやってほしいというお話があったり、あるいは患者さんの経験っていうものが役に立つわけですから、そういうものをいろんな場で活用するように役立ててもらったらどうかとか、あるいはがんケアっていうことになりますと、医療に従事されるお医者さん、看護師さんなどの研修なども、そういう場でも話をしたりそういう研修に従事してほしいと、いろんな意見が出ましたから、私は今後もそうした患者の皆さんの意見をよく聞きながら、それをがん対策に生かしていきたいというふうに思っているところであります。



(佐々木)今後は各サロンの連携を図っていくことが重要なことと思うが、県としてどう取り組んでいくのか伺う。

(健康福祉部長)各サロンとの連携につきましては、意見交換会や研修会あるいは相互交流の場ということで、いろんな連携を図ってるところでございます。今後は、議員御指摘のように各それぞれのサロンが連携してく、こういうことは極めて大きな課題であるというふうに思っております。したがいまして、各サロンの皆様方から意見を伺いながら、サロンの相互の連携が一層進みますよう県としても最大限の支援協力をさせていただきたい、かように考えてございます。



(佐々木)三年間で七億円を目標としている募金の状況について伺う。

(健康福祉部長)御案内のとおり、この募金は島根難病研究所が主体となって募金を開始しております。1年数カ月が経過いたしました。現在、約3億1,000万円ほど寄附が寄せられたと聞いております。御案内のとおり、売り上げの一部を寄附するがん対策募金つき商品とか街頭募金活動が積極的に行われておりまして、非常に広がりを持った県民運動として広がってきてるというふうに考えております。



(佐々木)募金活動の推進と拠点病院への配分について、県の基本的な考えを伺う。

(健康福祉部長)募金の配分につきましては、募金活動の主体である難病研究所におきまして募金配分委員会が設置され、そこの場で議論をされるというふうに認識しております。県もこの委員会に委員として参画しておりますので、県としても意見を言う機会がございますが、私どもとしましては、まず配分の時期につきましては、議員冒頭おっしゃいましたように3分の1も陳情の方々がかわってくると、あるいはこの募金という状況、そしてまたこの募金自体が県民の皆様の善意によって集まったもの、県民の皆様は恐らく一日も早く病院に機器が整備していただきたいというのが恐らくお気持ちでございましょうから、そういったお気持ちを十分踏まえて、また提案をしてまいりたいなというふうに考えております。 また、各病院間のバランス、配分につきましては、各病院がどういうふうなことをお考えになってるかということを十分お聞きした上で考え方をまとめていきたいと、かように考えておるところでございます。



(佐々木)本県におけるALS患者のおかれている状況及び在宅で呼吸器を付けて療養されている患者についての認識を伺う。

(健康福祉部長)ALSの患者の方の状況、大変厳しいものがあるということは御案内のとおりだと思います。県内のALSの患者さんは、現在80名前後いらっしゃいます。そのうち、寝たきりなどの重症の方が約7割、60名弱でございまして、一般に高齢者が多いという状況にございます。このうち、在宅で療養していらっしゃいます患者さんは54名でございまして、そのうち20名の方が議員御指摘の人工呼吸器を装着していらっしゃいます。人工呼吸器をおつけになられますと、1時間置きにたんの吸引が必要でございますし、そして体位の変換も必要になってまいります。そうした介護は多くは家族の方が担当していらっしゃいますが、ALSになられますと患者さん御自身の意思の伝達が非常に難しいことから、非常に介護に多くの労力がかかるということがございます。このため、介護に携わっておられる家族の方の精神的、そして肉体的な負担は極めて大きなものがあるというふうに認識をしておるとこでございます。



(佐々木)在宅で人工呼吸器を装着しているALS患者、家族への支援の状況及び在宅での療養生活の継続に向けた県としての今後の支援について伺う。

(健康福祉部長)ALSの患者さんの支援につきましては、現在訪問看護の回数の上乗せをしてる、あるいは在宅療養につきまして、保健所が中心になりまして医師とか訪問看護ステーション、ホームヘルパーなどとのネットワークを組んでると、こういった支援を現在もやっております。患者さんの支援はそういったことをやってるわけですけれども、今議員御指摘の24時間で介護に当たってる家族の方への支援、こうしたことは、先ほど申しました肉体的、精神的な負担が大きいにもかかわらず、現在非常に手薄いというのが実情でございます。したがいまして、家族の負担をどう軽減し、ALSの患者さんが安心して療養が続けられるような支援の仕組みがないものかということは、現在検討を進めてまいりたいというふうに考えております。


                                  

(佐々木)出雲市のトキ分散飼育の取組みの評価と分散飼育地決定の見通しについて伺う。

(溝口知事)このトキの分散飼育をしてトキが絶えないようにしようということで国が検討されておりまして、11月中旬に環境省のトキ繁殖飼育専門家会合で、候補地3つぐらい出雲市を含めましてあるようでありますけども、どこが条件にかなってるか検討したところ、出雲市の取り組み、これ長年にわたっていろんな取り組みをされていまして、類似種を飼って準備をするとか、そういうことで高い評価を受けたと聞いております。環境省は現地調査もやっておりますし、そうした専門家会合の意見も踏まえまして、年内には正式に分散飼育地を決定する予定だと聞いております。遠からず朗報が届くんではないかというふうに期待をしておるところであります。



(佐々木)確実な事業採択のためには、県の支援が不可欠だと思うが、その進捗状況と課題について伺う。

(土木部長)トキの分散飼育は、緑豊かな環境都市が調和した田園都市構想に資するものと考えております。トキの分散飼育施設につきましては、本年8月に出雲市から都市公園事業で整備したい旨の表明がございました。国への予算要望の時期を過ぎておりましたが、国土交通省との密接な協議を重ね、平成21年度の都市公園事業採択へのレールに乗せたところでございます。トキの飼育施設整備は、都市公園事業では全国で初めてのケースということになります。このため、トキを初め都市公園及び自然環境の各専門家による検討会議の立ち上げに努めまして、昨日、国土交通省の参画も得て、具体的な検討を始めたところでございます。県といたしましても、トキの早期分散飼育を実現するため、速やかに都市計画法の手続を進め、国の21年度予算の成立を直ちに事業着手できるよう、引き続き万全の態勢で支援してまいります。






                         






  

平成20年11月定例県議会(一問一答)