去る2月24日、2月定例県議会において、一問一答をおこないました。その質問、答弁は次のとおりです。


         



1 中国上海便について

 中国上海に向けた定期航空路線開設の取り組みについて、お聞きいたします。
 近年中国は、めざましい経済成長を遂げてきており、これに伴い我が国との経済、文化等の交流は益々進展するものと考えております。 とりわけ上海を中心とした地域においては、中国の全国平均を大きく上回る十数パーセントの経済成長率を示しており、この地域との交流を深めることは、我が県の今後の経済、文化の振興を考える上で、非常に重要なことであると考えております。

 このため、私は、この地域との交流を深める一つの方策として、上海を中心とした中国と本県とを直接結ぶ定期路線を開設すべきと考え、これまでも県議会の場をつうじて、執行部の考え方をお聞きしてきたところであります。

 そうしたこともあり、執行部におかれましては、いよいよ出雲空港と中国上海間の国際定期航空路線開設を目指して、この3月からチャーター便運航に積極的に取り組んで行かれるとのことであります。

 私自身も、日中友好交流を促進するため、「島根県訪中団」として、幾度か中国を訪れ、桜の植樹を行っておりますが、この関係で、中国の航空会社にも友人があり、中国への定期航空路線開設に向けていささかのお力添えができればと考えておりました。

 そして昨年5月には、いずれは「中国航空」と合併する「中国航空」の副社長が来日された折りには、澄田知事を表敬訪問していただき、出雲空港からの中国への国際定期路線開設に向けた我が県の取り組みに対して、「協力する。」との言葉をいただきました。

 その後、島根県商工会議所連合会をはじめとした経済5団体から、中国への定期航空路線開設の要望や、澄田知事と
石川県の谷本知事との会談等、路線開設に向けた幾つかの動きがありました。
 又、昨年12月には、私ども県議会議員も国際定期路線開設実現に向け支援をするため、超党派で「中国(上海)定期航空路線開設促進議員連盟」を立ち上げたところであります。

 一方、本県経済会においても、「出雲空港ー中華人民共和国国際定期航空路線開設推進期成同盟会」を組織され、路線開設に向けた取り組みについての環境が整ってきております。

 しかし、国際定期航空路線開設にあたって、旅客需要の確保をはじめとした高いハードルがございます。

 そこで私は、幾つかの課題について質問をさせていただきますので、よろしくご答弁をお願いいたします。









(1)チャーター便の運航日程について

 @ まず、平成15年度予算においては、中国国際定期航空路線開設へ向けた取り組みとして、上海へのチャーター便を、出雲空港と石川県の小松空港とのバウンドにより4便、出雲空港からの直行により6便を運航することに対する助成を行うことでありますが、具体的な運航日程が判ればお聞かせいただきたい。

 (島田理事答弁)

 小松空港とのバウンド運航によります初便の運航日程につきましては、3月の下旬に運航する方向で、現在最終調整を行っておりまして、間もなく確定する予定でございます。
 なお、航空会社は中國東方航空、機材は120人乗りのエアバス320、運航ルートにつきましては、行くときには出雲からまず60人乗せて小松へ行き、そこで60人乗りまして上海へ向かい、帰りは上海から今度は出雲を経由して小松に帰るルートを予定しております。
 平成15年度のチャーター便につきましては、現在のところ、4月から1年の間に小松空港とのバウンド便が4月、7月、2月、3月に各1便ずつ運航いたしまして、出雲空港からの直航便は6月、9月、10月、11月については各1便、8月については2便運航ということで、バウンド便と直航便を合わせて計十便を運航する計画であります。
 これについては、具体的な日程はほぼ決まっておりますけど、確定までには、今少し関係者との調整が必要であります。

                  






 A 3月末には、石川県の小松空港を経由して、両県からお客を乗せた初めてのバウンドチャーター便が運航されるということでありますが、県においてはこの機会を活用して中国に対しての特別の取り組みを考えておられますか、この際お聞かせ願います。


(島田理事答弁)
 
 初便という特別の記念すべき便でありますので、石川県と合同でミッションの派遣を予定しております。
 このミッションは、知事代理としての出納長を団長に編成し、昨年末経済界を中心に設立されました「中華人民共和国―中国国際定期航空路線開設期成同盟会」からの参加も予定しておりまして、中國東方航空本社等の訪問や経済開発特区の実情調査等を考えております。









(2)定期便開設のための需要動向について

 @ 定期航空路線開設のためには、やはり需要が十分見込まれるということが最も大きな前提条件になると考えておりますが、コンサルタント会社に需要予測調査を委託された状況は、どうであったか、お聞かせいただきたい。

(島田理事答弁)

 昨年コンサルタント会社に委託して行いました需要予測調査の確定結果につきましては、まず定期路線が成り立つためには、約2万3千人の利用客が必要でありますが、
石川県では約1万人、島根県では約5千人、今のところ中国へ渡航している状況であります。
 両県それぞれでは、必要な旅客数に足りませんので、路線開設がなりませんが、小松空港と出雲空港とで合わせて客を集めてバウンド運航で上海路線を目指すのであれば、平成18年度時点には、路線開設に必要な需要の確保が見込まれるという結果でありました。








 A 中国への国際定期航空路線については、我が国の地方空港からも幾つか路線が開設されておりますが、その利用の大半は日本人の中国への観光ツアーだと聞いております。このような中で、出雲空港から中国への国際定期路線を開設するにあたってのメリットは、何があるとお考えなのか、お聞かせ願います。


(島田理事答弁)

 メリットにつきましては、まず、現在岡山、関空、福岡とかから飛び立っていたものが、出雲空港から直接、県民が中国へ渡航できるということで利便性が向上いたします。
 また、議員ご指摘のとおり、現在のところ地方空港路線においては、日本人の中国への観光ツアーが大半を占めることは事実でありますが、中国政府は、2000年9月に、訪日団体観光旅行を北京市、上海市及び広東省に限定しながらも解禁しておりますので、今後は、観光目的の訪日者が増加していくものと予想されております。
 また、2007年には北京・上海間の高速鉄道が開通予定でありますし、2008年には北京オリンピック、2010年には上海万博が開催される等、同国への大規模投資が期待されまして、多くのビジネスチャンスや観光需要も生まれるものと考えられます。
 このため、定期路線の開設により積極的な経済交流を行う環境が整うほか、スポーツ、教育、文化等幅広い分野での交流促進、国際観光の振興にも資するものと考えております。









 B 複数の空港からのバウンド運航による国際定期路線は、数路線ありますが、利用者はバウンドする空港において、そこでの搭乗客が手続きを終える間、機内で片道1時間程度待機することとなり時間ロスが生じ、こうした点は需要確保の面では不利になると思われますが、いかがお考えでしょうか。

(島田理事答弁)

 確かに、議員ご指摘のとおり、他空港を経由いたしますので、時間ロスを生じることになりますが、例えば、先日私が行きました例で申しますと、出雲空港9時25分発の航空便で大阪(伊丹)空港へ行き、そこからリムジンバスで関西空港へ向かうわけですが、同空港内で出国手続き等を行い上海へ向けて出発したのが13時55分でありましたので、その間、出雲空港から出発まで4時間半を要しております。
 また、そこから2時間半かかって上海に到着するということで、合わせて7時間かけて行くということになります。

 このようなことから、石川県で1時間ロスがありましても、今より短い時間で行くことができますし、出雲空港で乗りますと荷物の出し入れもなく、そのメリットは大きいものがあると考えております。










(3)航空会社の考え方について

 @ 次に、航空会社についてでございますが、国際定期航空路線を開設するためには、どの航空会社に交渉するかも含め、運航してくれる航空会社を確保することが大きな要件と考えてます。
 先般、島田理事は、
石川県と一緒に、今回のチャーター便の運航について、中国上海の「中国東方航空」を訪問されたようでありますが、その際、航空会社からは定期路線開設の取り組みについてどのような感触を受けられましたか、お聞かせ願いたい。

(島田理事答弁)
 
 1月29日に
石川県の大鹿企画開発部長と共に上海の中國東方航空本社を訪問しまして、営業本部の、高い低いの高と書いて「ぐぁお」と読みますが、本部長とお会いしました。
 本部長によれば、同社はこの3月末に中国西北航空等を吸収合併しまして、合わせて日本の11都市に路線を持つこととなりますけども、今後も積極的に日本各地へ路線を展開していきたいとのことでして、とりわけ上海との路線については、旅客数の確保ができれば、いかなる空港へでも就航するとの考え方が示されました。
 
また、定期便開設に向けた取り組みにつきましては、チャーター便の運航促進から段階を追って取り組んでいくことが重要であり、本県のチャーター便等の取り組み姿勢に賛同していただきました。









(4)韓国便の取り組みについて

 @ 本県では、これまで韓国・ソウルとの国際定期航空路線開設に向けて、精力的な取り組みが行われてきましたが、一昨年4月、米子空港に「アシアナ航空」が就航し、出雲空港からの韓国便の開設は厳しい状況にあると思っております。
 こうした中で、執行部としては「中長期的な視点に立って誘致活動を行う。」との考えのもと、韓国へのチャーター便に対する運航助成を行ってこられたものを、平成15年度からは廃止するとのことでありますが、その理由をお聞かせいただきたい。


(島田理事答弁)

 ご指摘のように、韓国へのチャーター便に対して、運航助成を行ってまいりましたが、来年度は廃止することといたしました。
 その大きな理由としては、世界の航空業界の経営環境が厳しい中で、大韓航空も同様な状況にありまして、今後当分の間、出雲空港への路線開設は見通しが立たない状況にあります。

 一方、一昨年の4月に開設されました米子〜ソウル線につきましは、本県県民も相当利用しておりまして、利用目標を大きく上回るような状況までには至っておりませんで、増便の計画も伝わってきておりません。
 また、米子〜ソウル線開設以降は、出雲空港からの民間ベースでの韓国チャーター便も漸減してきております。

 こういう状況から、当面助成をしてまでチャーター便の運航促進を図る意義は、少なくなってきていると考えており、来年度は情報収集活動等を地道に続けることとしたものでございます。






 A 先の新聞報道によりますと、鳥取県旅行業者協会会長が島根県庁を訪問され、出雲空港ー上海便の需要確保に全面的に協力するとの表明をされたようでありますが、この際、今少し詳しい内容についてお聞かせいただきたいと思います。


(島田理事答弁)
 
 伺いましたお話の内容としては、
鳥取県旅行業者協会としては、出雲〜上海便を利用させていただくとともに、その需要が少ない時期には、利用率等で応援したい旨の意向を示されました。
 そして、「出雲は上海で、米子は韓国」という方向で両県が協力し合っていくことが大事であるとの考えで、米子〜ソウル便について
島根県に協力して欲しい旨の要請がありました。
 それから、航空便に限らず、鳥取県で今年度秋のJR高速化実現を控え、陸上交通で連携していくことや海上交通、観光振興における連携も深めていきたいものだとの提案がありました。









(5)国際定期航空路線開設の展望について

 @ これまで国際定期路線の開設について、いろいろとお聞きしてきたところでありますが、最後に知事から定期航空路線開設の展望についての御所見をお伺いいたします。

(澄田知事答弁)

 昨年、国交正常化三十周年を迎えました日中両国は、「一衣帯水
」の関係にある隣国同士として、二千年に亘る交流の歴史を育んでまいりました。今後も両国の関係は飛躍的な発展を遂げ、極めて重要なパートナーとなっていくものと考えております。
 また、近年の中国の産業・経済は、上海、広州等の沿海部を中心に、驚異的な成長を見せており、とりわけ、上海を中心とした華東地区は、東洋のシリコンバレイといわれる無錫
市等を抱え中国経済発展の牽引力となっております。
 そのような中国・上海と出雲空港を結ぶ定期航空路線につきましては、県民の中国渡航の利便性向上や本県への中国人観光客の増加はもとより、本県産業の振興や多方面にわたる本県と中国の交流促進に大きく寄与するものと考えております。
 
このため私といたしましては、今後は中国・上海との定期航空路線に軸足を置き、チャーター便の運航促進、エアポートセールス等を積極的に展開するなど、その路線開設に向けて全力を挙げて取り組むとともに、「山陰はひとつ」との観点から米子ーソウル便へ協力してまいります。







2 つぎに、労使の関係について

  先月24日、人件費の抑制策をめぐる労使交渉のすえ、1時間のストライキを県職員労働組合が行ったことは、議会を含めた行財政改革などの進展を見守ってきた県民に対して、少なからぬ動揺を与える結果となり、極めて不幸な出来事であったと感じているところです。
 私は、十三年十一月の定例会において行財政改革調査特別委員会が設置されて以降、二十数回にわたって、行財政改革の推進に関する調査を精力的にこなし、昨年十二月定例会までに、「行財政の改革」、「財政運営の健全化」、「外郭団体の見直し」そしてまた、「議会改革」にも取り組んできました。

 この中で、本県の財政を健全な方向に導くには、どうしても職員の人件費を抑制する必要がある。そのために、職員の理解と協力によって必要な措置が講じられるよう期待してきたところであります。
 私達、行財政改革調査特別委員会が報告し、提言してきた改革を着実に実行し「夢と希望にあふれた島根」目指すためには、知事と職員との関係を正常に保たなければ、到底解決しない事柄を沢山含んでいます。
 労使の関係がギクシャクしたままの今の状態に対しては、大変不安に思うところであります。
 新聞報道などによれば、今後の県財政運営の方針を巡り、互いの意志疎通が充分でなかったことによって、様々な事態に及んだように言われております。

 我々議員は、議会改革の1つとして常任委員会や特別委員会についても、県民が傍聴できるようにするなど公開に努めてきました。
現に、組合役員が傍聴した例もあります。
 労使交渉についても、一般県民が傍聴できるようになれば、結果ストによっていたずらに県民の不安をあおることもないと思うのですが、知事の所感をお聞かせ下さい。

 また、県議会が県民の付託に応えるため、多くの時間と労力を費やして提言したきた様々の事柄が、労使の交渉を優先するあまりにスピードダウンするような事態は、決してあってはならないことでありますが、いずれにしても、県民の想い、県民の意識と懸け離れた職員労働組合の姿勢は、断じて許されるものではなく、県民の奉仕者としての基本的な意識を持ち合わされるよう改めて要望しておきたいと思います。

(澄田知事答弁)

 佐々木議員がおっしゃいましたとおり、県政を進めていく上で、労使関係が良好であることが大変重要でありますので、今後とも、関係の維持に努めてまいりたいと考えております。
 ご提案の件でありますが、行政の透明性が求められる時代にあって、県政の課題に関する事項については、労使双方が県民に対して、説明責任を負うべきではないかと考えております。

 従いまして、今後、こういった観点で、労使の間での交渉や議論の持ち方や県民に対する情報提供の手法などにつきまして、労使で協議していきたいと考えております。










                         






  

平成15年2月定例県議会(一問一答)