「おとなしい めんどり」
作/ポール・ガルドン
訳/谷川 俊太郎
童話館出版



私が絵本の読み聞かせのボランティアを始めたのは、現在小学校2年生の長男が幼稚園に通うようになってからのこと。
それ以来、何度この絵本を幼稚園や小学校に持っていって読んだことか。
あらすじはこうだ。
怠け者の犬、猫、ねずみと大人しいあかいめんどりが、居心地の良い小さな家で同居をしていた。
ある日めんどりが庭で雑草を抜いていて小麦の種を見つける。
その小麦を育て、お菓子が出来上がるまでの手間ひまを手伝ってくれるよう
同居中の犬や猫やねずみに何度もお願いするのだが、その度「いやだね」といって断られてしまう。
しかたなく、めんどりはたった一人でお菓子が出来上がるまでの全ての工程をやり遂げた。
そして最後に「だれか このおかしを たべる?」と問い掛けるめんどり。
当然「食べる!」と心躍る犬と猫とねずみ。
ところが次の場面では・・・・・
最後は子どもたちの意表を付くエンディングでみんなポカンと口を開けたまま!
なんとめんどりは、たった一人で働いた当然の報酬だと堂々と宣言すると
「ひとかけらも あまさず たべてしまった。」のだ!!
このなんとも痛快でユーモアのセンス溢れる絵本が私は大好きだ。
日本人気質からすると、最後の場面では「まぁ、かわいそうだから分けてあげましょう」といったところだろうが
そんな、その場だましの甘やかしの優しさは みじんも存在しない。
この絵本を読む度に「働かざる者 食うべからず」を真正面から受け止めることが出来るだろう。


2002/02/21

 




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