柿の苗は接ぎ木をして作ります。
昔話の「さるかに合戦」では、カニがおにぎりと交換した柿のタネを播くと、芽を出した柿が大きくなって実をつけます。サルが木に登ってその実を独り占めして食べてしまいます。
ところが実際には、タネから大きくなった苗(「実生(みしょう)苗」と言います)は、99.9%以上は渋ガキとなります。サルは食べた柿が渋かったので怒って柿の実を投げつけたのかもしれませんね。また、果実の形や大きさもどんなものが出てくるかわかりません。
そこで農家では、タネを播いて作った実生苗に栽培種(西条や富有など)の穂木を接ぎ木した苗を畑に植えます。「桃栗三年、柿八年」と言われますが、上手に育てると3年目ぐらいから実をつけ始めます。
年間の主な管理作業には次のようなものがあります。
【せん定】:12〜2月
無駄な枝を切り落として、樹全体に良く陽が当たるような樹の形をつくります。
【粗皮けずり】:1〜2月
樹の皮の下に隠れている害虫を退治するために、樹の表面のいらなくなった皮を高圧の水をかけて剥いでやります。
【摘蕾(てきらい)】:5月
柿の花は5月下旬に咲きます。「えっ!柿に花が咲くの?」と言われるかもしれませんが、花が咲かないと柿の実はできません。春に芽吹いた枝(「新梢(しんしょう)」と言います)を見ると、葉の付け根の部分に小さな蕾(つぼみ)がついているのがわかります。
1本の柿の樹にたくさんの蕾がつきますが、その数を減らしてやらないと大きな美味しい柿の実にはなりません。この蕾を落とす作業を摘蕾と言います。農家では2週間ほどの間にこの作業を行いますが、栽培の多い農家は、何十万個もの蕾を落とすことになりますので、大変忙しくなります。
【授粉】:5月
柿の花には雄花(おばな)と雌花(めばな)があります。大部分の栽培品種は雌花しかつけません。そのため雄花をつける品種を柿園の中に植えておき交配する必要があります。交配しないとタネが入らないのです。食べる方からすれば「タネが無い方が食べやすいよ」と言われるかもしれませんが、タネが入っていない柿の実は途中で落ちてしまいます。タネが入っていないと「大きな美味しい柿」は出来ないのです。
以前は、人間がこの交配作業をやっていました。絵筆に花粉をつけて、柿の花につけてやるのです。この作業も根気がいる大変な作業でしたが、最近はミツバチの力を借りてやっています。
【摘果(てきか)】:6〜7月
花が咲き終わるとだんだん柿の実が大きくなってきます。まだまだ沢山の柿の実がついていますが、この段階で傷のついたものや形の悪いものを落としてやります。この作業を摘果作業と言います。ここで更に数を減らすことで大きな柿の実になります。
【病害虫防除】:3〜9月
柿にも様々な病害虫が発生します。毎年安定した生産をするためには、これらの病害虫防除のために必要最低限の農薬散布を行います。柿部会ではより「安全で安心」な柿をお客様に届けるため、フェロモン剤の利用や耕種的防除(栽培管理の工夫で病害虫を抑える防除法)の導入など、今後も減農薬の取り組みを進めます。
【その他】:年間
園内の草刈り、施肥、好天時の水やり、大雨時の排水対策、台風時などの枝つり(風で枝が折れないようにヒモで結ぶ)など、いろいろな作業があります。
【収穫】:9〜11月
生産者の1年間の苦労が結果となって表れます。平田では西村早生、伊豆、西条、松本早生富有、富有の順番で収穫していきます。
収穫作業は簡単そうに見えますが、柿の実に傷がつかないよう慎重に取り扱う必要があります。
収穫した柿の実は共同選果場に運ばれ、等階級別に選別・箱詰めされて出荷されます。西条は渋柿ですのでドライアイスと一緒にビニール袋に入れて箱詰めされます。そうすると市場へ着くころには渋が抜けて甘くて美味しい柿となります。 |