澄 田 知 事 答 弁
本文へジャンプ 平成18年2月28日 

                             

(問)第一期改革の評価について伺う。

(答)佐々木議員の御質問にお答えいたします。

 まず、「三位一体の改革」の第一期改革の評価についてであります。

 第一期改革では、国と地方の協議の場を通じ、三兆円というかつてない規模の税源移譲が実現したという点では評価できるものの、その対象となった国庫補助負担金改革の大半が地方の自由度の向上に寄与しない国庫負担率の引下げで占められるなど、真の地方分権改革の名に値するものとは言い難い結果となりました。

 我々地方が求める三位一体改革は、過度に中央に集中する権限や財源を住民に身近な地方公共団体に移し、地域のニーズに応じた住民サービスが提供できる体制の確立を目指すものです。
 私は、この改革を、そうした地方分権改革として進めてこそ、簡素で効率的な行財政システムへの転換が可能となり、国・地方を通じた財政再建につながるものと確信しています。
 しかし、国の各省庁においては、この改革の持つ地方分権改革としての意義を理解することなく、既得権益を維持しつつ、地方に一方的な負担転嫁を行うなど、国の歳出削減を優先した姿勢に終始しました。このような各省庁の歩み寄りに欠けた姿勢が、第一期改革の残念な結果につながったものと考えています。


(問)今年本県で全国知事会が開催されるが、一方的な経済原理で地方と都市との配分が行われるならば、断固反対の意を示し、この場でもきちんと地方の立場を述べる必要があると思うが所見を伺う。

(答)次に、都市と地方間の財源配分に関する本県の主張についてであります。

 現下の国・地方を通じた危機的な財政状況に思いを致せば、経済効率性の追求が、行政のあらゆる分野にわたって、今まで以上に必要となることは理解できるところです。

 しかしながら、私は、今後急激に人口減少、少子高齢化の波にさらされる我が国の将来を考えた場合、経済効率一辺倒ではなく、環境にやさしく持続可能性のある国土、また、ゆとりある豊かな地域社会をつくっていくことが何より重要であると思います。そして、そのような国づくりに、豊かな自然や伝統・文化を大切に守り育ててきた地方が、その普遍的価値を梃子にして、どのような役割を果たすかが極めて重要な視点となるものと考えています。

 議員御指摘のとおり、これまで地方は国土保全、人材供給、食糧供給など、経済効率性だけでは計りきれない多くの重要な役割を果たしてきました。さらに、これからは少子・高齢社会対策や地球温暖化対策など、新たな国家的課題の解決を図る上でも、地方の役割は一層重要になります。

 今年七月の全国知事会議では、第二期改革に向けた取組みが大きなテーマになります。私は、この会議の場において、地方が果たす様々な役割を適切に評価すべきであること、また、地方交付税の配分にあたっても、専ら人口に比重を置くような、経済効率性のみを尺度とするのではなく、離島や中山間地域を抱える地域の実情に十分配慮すべきであることを強く主張していきたいと考えています。


(問)県は中期財政計画に基づき改革を実施中で、更に交付税が削減された場合持ちこたえるのは困難と考えるが、第二期改革に向け、どのような見通しを持ち国に対して臨むのか伺う。

(答)次に、第二期改革に向け、どのような見通しを持って臨むかについてであります。

 私は、第二期改革においては、第一期改革の検証を踏まえ、地方の自主性、自立性の向上につながる、量より質を重視した改革を目指すべきであると考えています。また、その際には、全国の多様な自治体がそれぞれの行政サービスの質を確保する上で、地方交付税制度のあり方が大きな鍵を握るものと考えています。

 こうした中で、今年一月には、竹中総務大臣の私的懇談会として「地方分権二十一世紀ビジョン懇談会」が設置されました。現在、六月の「骨太の方針二○○六」をにらんで、自治体の破綻法制の導入や将来の三位一体像などについて、活発な議論が行われています。

 平成十九年度以降の地方財政の見通しが現時点では全く不透明であるだけに、この懇談会での議論の動向が、「骨太の方針」にどのような形となって反映されるのか、地方交付税や地方債をターゲットとした市場原理の導入によって、都市と地方の行政サービス水準の格差拡大を招くようなことはないのか、など大変懸念されるところです。

 とりわけ、本県のように税源に乏しい団体にとって、税源移譲後は、なおさら地方交付税の財源保障機能と財源調整機能の重要性が増すことから、第二期改革に向け、都市と地方の共生の必要性、そのための地方交付税の意義と重要性を、より一層国に対し強く訴えていきたいと考えています。 



(問)政府が進める痛みを伴う改革や大きな経済原理の流れの中で、島根県は競争に身を置くのか、それとも安心感と余裕のある社会を目指すのか、目指す方向と将来像について伺う。

  

(答)次に、本県の目指すべき方向及び将来像についてであります。

 構造改革や行財政改革が、国、地方で実行されている中、私が考える本県の目指すべき方向・将来像は、「自立的に発展できる快適で活力のある島根」です。

 このことは、競争原理・経済原理一辺倒に身を置くものでもなく、また、経済的基盤を抜きにした精神的な幸福感のみを追求するものでもありません。

 まずは、本県経済が持続的に成長するよう、公共依存型から民需主導の産業構造に転換するとともに、地域固有の資源や産品の価値を高めることにより、経済基盤を固め、人が活き活きと働き、生活できる条件を整えなければなりません。

 さらに、都会では失われた文化や自然、さらには地域の絆を何としても守り抜きながら、子供が健やかに育ち、人が心豊かに安心して暮らせる環境を整えなければなりません。

 このように、県民にとっての物心両面に渡るバランスのとれた豊かさを実現していくことが、県行政を預かる私の責務であると強く信じており、全身全霊を傾けて取り組みます。



(問)これまでの「内なる改革」に対する評価を伺う。

また、これから引き続き地方公営企業の経営健全化、独立行政法人制度の活用などを含め改革に取り組む決意を伺う。

(答)次に、本県の行政改革についてであります。

 本県では、自立的で持続可能な県政運営の実現に向け、抜本的な財政構造改革や行政の効率化・スリム化を進めているところです。

 こうした改革は県民の皆様のご理解のもと、県議会、執行部が一丸となり、国や他県に先駈けて強力に取り組んでいると自負しております。

 このたび、国からの要請も踏まえ、現在推進中の改革の実施状況と平成二十一年度までの取り組みをとりまとめた「県行政に関する集中改革プラン」を策定いたしました。

 この中で、特に、教員、警察官、企業会計職員を含めた総定員の管理については、向こう五年間の目標数値として国が示している「四・六%以上の純減」を大きく上回る、八・五%の削減を掲げ、部門別、手法別、年度別に削減人数を明示するなど、極めて具体的な計画を策定したところです。

 地方公営企業の経営健全化や指定管理者制度を導入する施設の拡大、独立行政法人化の取り組みなどを含め、プランに掲げた目標達成に向け、引き続き県民の皆様のご理解を得ながら、改革の手をゆるめることなく着実に推し進めてまいります。


(問)県民の視点を取り入れ、職員が生き生きと仕事ができる制度を早急に検討・導入すべきと考えるが所見を伺う。

(答)次に、職員が生き生きと仕事ができる仕組みづくりについてであります。

 社会経済情勢が目まぐるしく変貌していく中で、公務員に求められる役割やあり方にも変化が見られるところであります。特に全職員の二割に及ぶ一千人の定員削減を進めようとする本県にとって、県民の皆さんに良質なサービスを提供していくために、職員一人ひとりの資質の一層の向上を図ることが強く求められております。

 こうした中、平成十八年度から、公務員の給与や任用に係る制度が五十年ぶりに抜本的に改められます。県においては、これにあわせて、総合的で系統だった職員の育成を推進するため、現在の「島根県職員研修長期構想」に替えて、新たに「人材育成基本方針」を来年度中に策定することといたしました。

  この方針においては、本県職員として求められる資質やその育成のための方策をできるだけ具体的に示すとともに、個々の職員に対する評価や本人の意向などが処遇等に適切に反映される仕組みも積極的に取り入れる考えであり、これにより職員の有する可能性や能力を最大限に活かしていきたいと考えております。



(問)「現場主義」を実現していくために柔軟で県民ニーズに即応できる、将来に向けた組織運営の基本的な考え方と取り組みについて伺う。

 

(答)次に、柔軟で県民ニーズに即応できる組織運営についてであります。


市町村合併の進展に伴い、県の地方機関の組織についても大幅な見直しを行うこととしておりますが、一方で県職員が常に現場主義の観点に立って県民の皆さんのニーズを的確に把握し、これに即応していかなければならないと認識しています。

こうしたことから、今年度から県職員が市町村役場に駐在し、市町村職員と一体となって情報収集や地域の自立的な取り組みを支援する体制を整備しました。

更に、今後の組織の改廃に当たっては、組織目標や設置期限を明示したうえで、各部局が毎年度必要な部署に必要な人員を配置できるよう、人員配置権限を総務部から各部局に移譲するなど、より戦略的で柔軟なシステムも取り入れたところです。

テキスト ボックス: 【所管部名 総 務 部 】 二頁
 今後とも、私をはじめ職員が積極的に地域に足を運び、県民の皆さんの声に耳をよく傾けるとともに、県民ニーズの変化に十分応えられるよう、柔軟な組織編成に努めます。


(問)合併後の県内の市町村の姿をどのように評価するか伺う。

(答)次に合併後の県内市町村の評価についてであります。

 本県においては、五十九すべての市町村が合併協議に参加し、真摯な議論が行われた結果、新たに誕生した十五の市町を含め、二十一市町村となり、本県市町村の姿は大きく変わりました。

 二十一の市町村は、人口、面積など規模の大小は様々ですが、いずれの市町村にあっても、地方分権時代にふさわしい基礎自治体として形成されることが肝要であります。

 こうした点からは、今回の市町村合併により、本県の合併団体はその規模・能力が拡大し、より自主的・自立的な行政運営ができる体制となりました。

 一方、小規模の町村においては、行財政基盤強化の観点から、各地域の実態に応じた広域連携について検討することも必要であると考えており、その手法や進め方について、検討を進めてまいります。


(問)市町村への権限移譲の状況も含め、今後の県と市町村の在り方・枠組みについて伺う。

(答)次に、本県の市町村への権限移譲の実施状況と、今後の県と市町村のあり方についてであります。

 本県では、市町村の行政基盤の強化支援策の一つとして、権限移譲の取組みを進めています。

 県内市町村では、合併が一段落し、新体制の下で、わがまちのこれからの姿を考え、住民サービス向上をめざして、権限移譲の検討を始めるところも出てきています。

 中でも松江市は、県から市への権限移譲の推進を、重点プロジェクトとして位置づけ、積極的に受け入れる方針であり、県としても、協議が整ったものから計画的に移譲を進めていくこととしています。平成十八年度においては、農地転用の許可等に関する事務や未熟児養育医療の給付決定等に関する事務など、十項目の権限移譲を行うこととしています。

 これに、松江市以外の市町分も加えると、平成十八年度の権限移譲件数は三市一町十四項目となり、平成十七年度の二町四項目から増えています。

 また、新年度は、組織体制を強化して一層の推進を図るため、市町村課内に権限移譲推進室を新設し、各市町村と十分に話し合いながら、その規模や能力に応じた権限移譲を進めていく考えです。

 分権時代には、地域に軸足を置いた視点が重要です。地域の主役は地域住民であり、市町村は、住民に最も身近な基礎自治体として、住民生活を支え、地域を活性化し、地方行政の中核を担うことが期待されています。

 県は、市町村が自ら考え、自らの責任で決定していくことを尊重しながら、広域的観点から調整、補完していく役割を適切に果たすことが必要であり、引き続き、良きパートナーとして進んでいきたいと考えています。



(問)医師確保に係る今後の国への働きかけについて伺う。

(答)次に、自民党議員連盟の提言に関するご質問についてであります。

 まず、医師確保についての国への働きかけについてであります。

中山間地域や離島、また、産科や小児科など特定診療科の医師不足は極めて深刻な状況となり、地域の医療機能の維持に重大な支障が生じることが懸念されます。

私は、こうした事態を重く受け止め、国に対しては重点要望を行うたびに、早期に解決策を打ち出すことを強く求めてまいりました。

こうした事態は、本県だけでなく、全国共通の緊急課題であり、それぞれが個別に対策を行うだけでは容易に解決することはできず、国において、法改正を含めた抜本的な解決策を打ち出すことが不可欠となっています。

私は、このような思いを持って、昨年十一月、全国知事会において、国への緊急要望を行う必要性を強く訴え、十二月には知事会として、国に対する要望活動を行ったところであります。

これを受け、国では、一部報道されたように、いわゆる開業を希望する医師に対し、へき地医療や小児、救急などの分野に一定期間従事することを「資格要件」とする、具体策の法制化の準備が進められました。この案については、社会保障審議会医療部会において審議されたものの、慎重な意見があり、今国会への法案提出は見送られたと聞きました。

 私は、この案はへき地の医師不足解消への大きな一歩を踏み出すものとして、重大な関心を持ち審議会の審議を注視していましたが、法案見送りの結果については、大変残念に思っております。 

 県民が安心して暮らしていく上で、医療は最大のセーフティネットと考えており、どこに住んでいても、適切な医療が受けられることが何よりも大切と考えます。そのためには、医師不足の解消は、何としてもやらなければならない大きな課題であります。国においては、引き続き、医師確保対策の議論が続けられますので、今後も抜本的な対策を早期に実施するよう、全国知事会としても、また、本県独自にも要請して行く決意であります。

 

(問)専門組織の設置、大学との連携等を提言したが、今後の取組みを伺う。

      

(答)次に本県における今後の取り組みでありますが、私は先程申し上げた国への働きかけを行う一方で、県独自にもしっかりと対策を行うことが不可欠と考え、新年度から、新たに「医師確保緊急対策事業」を創設し、より明確な目的意識を持って、医師確保対策の充実を図ることとしました。

 この事業は、大きく三つの観点から取り組みを進めることにしています。

 その一つ目は、県自らより積極的な行動を起こすこと、二つ目は、初期臨床研修を終了した戦力となる医師、いわゆる後期臨床研修医を確保するための事業に取り組むこと、そして三つ目は、何よりも大切な島根大学との連携の強化であります。

 このうち、県自らより積極的な行動を起こすためには、きちんとした体制を作りこれに当たる必要があることから、新たに「医師確保対策室」を設置することとしました。

 具体的には、対策室に医師確保チームを置き、本県出身医師等のところに直接出向き、即戦力となる医師の確保に全力を挙げますが、これを確実なものとするため、この対策室にはあえて数値目標を掲げることにしました。対策室の職員には、チーム一丸となってこの課題に取り組み、目標どおりの成果をあげてくれることを大いに期待しています。

 一方、最も重要な大学との連携強化については、大学独自に着手された様々な地域医療教育の取り組みに対し、共に考え、共に取り組むとともに、県として積極的な財政支援も行うこととしました。

 具体的には、「地域枠推薦入学者奨学金」「しまね医学生特別奨学金」といった新たな奨学金制度を創設し、地域医療に貢献する強い意志を持った学生に支援するほか、大学が実施する良き地域医療医を育成するための事業にも協力・支援を行ってまいります。

 私は、こうした取り組みに不退転の決意を持って臨むことで、一人でも多く地域で働く医師を確保する所存であります。


(問)本県の今後の雇用状況をどのように予測し、どう対応するのか伺う。

(答)次に雇用問題についてであります。

 昨年十二月の本県の有効求人倍率は○・八六倍であり、九月に四年六ヶ月ぶりに回復した○・八倍台を四か月連続で維持するなど、全体的には雇用状況は改善の兆しが見られます。しかしながら、出雲ハローワーク管内が一・二二倍であるのに対し、隠岐は○・三七倍であるなど、地域間で格差が見られ、中山間地域を中心に、今後とも厳しい状況にあると認識しております。

 本県の産業構造は官公需に依存する割合が高く、また労働集約型の中小企業が多いことから、今後さらに地域間格差が拡大するおそれもあり、地域の実情を十分踏まえつつ、産業・雇用対策を強力に進めていく必要があります。

 このため、県内産業の活性化と新たな産業の創出などにより、引き続き安定した雇用環境の構築に努める一方で、地域のやる気と新たな発想で、地域に密着した雇用を積極的に創造していくことが、何よりも重要であると考えております。

 こうした観点に立って、県といたしましては、これまでの施策に加えて、来年度から新たに、雇用創出スタッフを配置し、推進体制を整備するとともに、地域の資源を最大限に活用した産業の振興を図り、地域独自の雇用創出に取り組む市町村等に対して、総合的な支援を行うなど、雇用対策に積極的に取り組んでまいります。



(問)新産業創出に向けた来年度の具体的取り組みと県内企業へどのような形で普及させていくのか、その方法と支援策について伺う。

(答)次に、新産業創出に向けた具体的取り組みと普及策についてであります。

 新産業創出プロジェクトにつきましては、テーマによって進捗度合いは異なりますが、日立金属表面改質センターの設置やパイオニアとの提携によるユニバーサルデザイン情報端末の製品化、県内企業による健康食品の全国展開など、徐々に新しい芽が出始めております。

 今後、新産業創出プロジェクトの目標である一千億円の製造品出荷額と五千人規模の雇用創出を、二〇一二年までに達成するためには、引き続き他に比類のない素材や技術を開発するとともに、その成果を知的財産権として固める必要があります。その上で、県内企業に技術移転を行い、新事業の創出や新会社の設立を促し、あるいは、開発した技術により県外企業を誘致することなどにより、県内での製造を実現することが重要であると考えております。

 来年度は、こうした考え方に立って、たとえば新機能材料開発プロジェクトにおきましては、既に実現しているアルミの四倍程度の熱伝導率を有する材料の具体的な応用先を開拓するため、本年四月に東京で開催される「第八回熱対策技術展」に出展するなど、顧客となる企業に積極的にアピールするほか、県内企業による研究会において技術情報を提供するなど、応用製品の開発に結びつくよう取り組んでまいります。

 また、プラズマ利用技術開発プロジェクトにおきましては、将来の県内での事業化を目指し、表面処理化学会社のトップ企業である日本パーカライジング株式会社などとの有限責任事業組合の設立や、県内における企業がこの技術を用いた製品を製造することができるよう、既に開発した技術の移転に加えて、共同研究による量産化技術の開発にも取り組んでまいりたいと考えております。

  このような取り組みを着実に実行することにより、新産業創出プロジェクトの目標を一日も早く達成し、県内産業の振興と雇用の創出を図ってまいります。



(問)国の「経営所得安定対策等大綱」をもとに育成しようとする担い手である経営規模四ヘクタール以上の認定農業者や経営規模二〇ヘクタール以上の集落営農への支援について伺う。

         

(答)次に、「経営所得安定対策等大綱」のもとに育成しようとする農業の担い手への支援についてであります。
 国では、「大綱」に基づき、平成十九年から「品目横断的経営安定対策」を実施することになりましたが、水田農業が中心の本県にとって、米、麦、大豆を対象作物とし、担い手の経営安定を目的として実施される品目横断的対策への取組は、極めて重要であると認識しております。

 私といたしましては、できるだけ多くの担い手が、この対策の対象となり、経営の安定が図られるよう、認定農業者の育成や集落営農組織の経営規模の拡大、法人化に向けた取組を加速化するとともに、組織化が困難な地域においては、JAが設立する営農を受託する組織への支援を行うなど、関係機関と一体となった担い手への支援を進めてまいりたいと考えております。



(問)中央病院は中核病院としての責務を果たすことが求められる一方、県財政が厳しい状況の中で自立的な経営も求められているが、このような状況の中で中央病院が担うべき役割と今後のあり方について伺う。

 

(答)次に、県立中央病院についてお答えします。

 県立中央病院は、県内全域をエリアとする高度な医療機能を持つ基幹的病院として位置づけておりますが、私が県立中央病院の機能・役割として、特に重要と考えているものは、高度・特殊医療や救急医療等の政策医療の実施と、離島・中山間地への医師派遣等の地域医療に対する支援機能であります。

  まず、高度・特殊医療や政策医療については、全県を対象とした救命救急センター等の機能に加え、本年一月からは総合周産期母子医療センターを設置し、本県の周産期医療を充実させたところでありますが、今後も県内の医療情勢を踏まえながら、がん診療等、県民の皆様の期待の大きい医療機能の充実に努めてまいります。

  また、地域医療につきましても、医師不足が深刻化し、医師確保対策が県の喫緊の課題となるなかで、医師の養成機関である島根大学や、地域医療支援の中心的役割を担う県立病院に対する地域の期待は大きいものがあり、今後も維持・拡充が必要と考えています。

 私は、県立病院は今後もこのような役割を果たしていかなければならないと考えていますが、一方で、現在県立病院が置かれている環境は、医療費抑制を基調とする医療制度改革の動きや県財政の悪化など、極めて厳しい状況にあります。

 私はこれからの県立病院のあり方を考えるにあたっては、こうした情勢をしっかりと見極めたうえで、県民から期待される医療機能の充実と、自立的な経営の両立を基本に議論を進め、その方向性を見定めて行きたいと考えております。



(問)「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」での検討状況と知事判断にあたっての今後の進め方について伺う。

(答)次に、「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」での検討状況についてお答えします。

 第一回懇談会を昨年十一月二十八日に開催し、去る二月二十三日までに五回開催されております。

 これまでに、安全性や必要性について、原子力発電に関しての立場が異なる専門家や国から説明を受けるとともに、第五回の懇談会では、十名の県民の皆さんから賛否両論の意見を聴取されたところです。現在、論点整理を行い委員間で議論が開始された段階と聞いています。

 次に判断にあたっての今後の進め方についてお答えします。

 原子力発電所の安全対策については、法令に基づき国が規制、監督を行っているところですが、県といたしましては、原子力の利用にあたっては、周辺住民の安全確保が大前提であり、原子炉施設について重要な変更を行う際には、まずは地元住民の理解を得ることが必要不可欠であると考えております。

 このため、中国電力との安全協定の運用に当たっては、これまでも、国に安全審査を申請する前の段階で、県に対し事前了解願いを提出することを求め、国の審査に先がけ、県としての判断を行ってきたところです。

 従いまして、今回のプルトニウム混合燃料の使用計画についても、その必要性、安全性などについて、県としてきちんと検討し、国の技術的な審査に先立って県としての基本的判断を行うべきものであると考えています。

 このため、私としましては、今後、懇談会からの意見や専門家の見解を踏まえ、今回の計画についての考え方を整理したいと思います。その上で地元松江市の意向も伺い、県議会にもお諮りをした上で最終的な対応を決定したいと考えています。



(問)今後の本県高速道路整備への取組みについての所見を伺う。                     

(答)次に、高速道路の整備についてであります。

 高速道路の整備は、自立的に発展できる快適で活力ある島根の国造りのために、欠くことのできないものであり、議会のご協力のもと、県政の最重要課題として取り組んでいるところであります。

  現在事業中の区間の整備を促進し、山陰道出雲以西に残る未事業化区間の早期事業化を図るためにも、国の役割を明らかにし、必要な財源の確保をすることが、今後の大きな課題であると考えております。

  未事業化区間のうち、平成十八年度の事業化を目指して取り組んできた出雲〜仁摩間については、二月二十一日に開催された島根県都市計画審議会において、道路計画が承認されたところであります。

 また残る区間についても、関係自治体等と一体となって、早期事業化に向けた取組みを進めるとともに、国に対して、切れ目なく事業展開が図られるよう求めてまいります。

 高速道路は国土の根幹的施設であり、法定予定路線一万千五百二十キロメートルは、国土政策として国の責任で全線整備されるべきであります。

  この度の道路特定財源の見直しにつきましては、受益者負担という制度趣旨に則り、安易な見直しや使途拡大を行うことなく、山陰道や尾道松江線などの、真に必要な道路の早期完成に向け、具体的な整備スケジュールを明らかにした上で、必要な財源を確保するよう強く主張してまいります。


(問)竹島問題への政府の姿勢に対する感想を伺う。

(答)次に竹島問題に関する御質問にお答えします。

 去る二月二十二日に、「竹島の日を定める条例」が施行されて初めての「竹島の日」を迎え、県議会及び竹島・北方領土返還要求運動島根県民会議の皆様とともに、「竹島の日の集い」「竹島を考えるフォーラム」を開催することができ、誠に感慨深いものがありました。 

 条例制定から一年。竹島問題への関心は飛躍的に高まり、条例制定の目的である国民世論の喚起という点では大きな成果とともに、歴史に刻まれることとなりました。これも、ひとえに県議会の皆様の御決断があってこそと、改めて敬意を表する次第であります。

 この問題の解決のためには、国民世論の啓発が不可欠であり、県といたしましては、竹島問題研究会の設置、「フォトしまね竹島特集号」の県内全世帯配布、さらには各種広報媒体を通じた啓発活動のほか、新聞投稿など県外に向けての情報発信も積極的に行っております。

 もとより領土問題は、すぐれて国家間の問題であり、両国の外交努力により、平和的に解決されるべきものであります。このため、国に対しては、国民の理解を深める取り組みや、粘り強い外交努力をお願いするとともに、国際司法裁判所に判断を仰ぐべきではないかとの提案も行っているところです。

 しかしながら、昨年の日韓首脳会談において、竹島問題が俎上に上らなかったなど、解決に向けての具体的な進展が見られないことは、残念であると言わざるを得ません。

 私といたしましては、引き続き、県議会の皆様とともに、国において、より積極的な取り組みが行われるよう、あらゆる機会を通じて、強力に働きかけてまいります。



(問)領土問題を抱える自治体が連携し、国に課題解決を求めていく必要があり、七月の本県での全国知事会は好機と考える。竹島は国土であるとともに島根県の県土でもあるが、領土問題を抱える自治体としての関わり方を含め所見を伺う。

(答)次に領土問題を抱える自治体間の連携についてお答えします。

 竹島問題解決に向けての国の積極的な取り組みを求めるためには、国民世論の喚起はもとより、自治体同士の連携による国への働きかけも重要と考えております。このため、これまでも、中国地方知事会や全国知事会、さらには全国

都道府県議会議長会などの要望事項にも盛り込み、その実現に向けて取り組んできておりますが、残念ながら、問題解決までには至っていないのが現状です。

 こうした状況を踏まえれば、今までの活動を強化することはもとより、議員ご提案のような、領土問題という同じ課題を抱える自治体が、この問題にテーマを絞った形で協議の場を持ち、国の積極的な取り組みを求めるという手法も有効と考えられます。

 このため、七月に本県で開催される全国知事会議に向けて、関係自治体の意向も打診し、また県議会のご協力もいただきながら、その具体化について検討してまいります。




(問)今までの少子化施策によりどのような効果が現れているのか、本県でもさらなる具体策の検討が行われるのか伺う。

(答)次に、少子化対策についてであります。

  少子化の急速な進行は、社会や経済、地域の持続可能性を根底から揺るがし、県民一人ひとりの生活に深刻な影響を及ぼすとともに、地域の存立をも脅かす極めて重大かつ深刻な問題であると認識しています。

 このようなことから、私は、少子化対策を進めるに当たり、先ずもって大切なことは、子どもを生み育てたいと願うすべての人が、地域全体の支援の輪の中で喜びと安心をもって子育てできる環境づくりであると考え、重点プロジェクトとして「子育てサロン」や、「みんなで子育て応援事業」等に積極的に取り組んでいるところです。

 これまでに「子育てサロン」の設置数は当初目標を大きく上回る八十七ヵ所となり、地域の交流拠点として根付いています。また、NPO、子育てサークル等が相互の交流と協働を目的にネットワークを形成するなど、子育て支援の輪が確実な拡がりを見せています。

 私は、このような地域全体で子育てを支援しようとする気運を大切にしながら、子育てに対する様々な負担感の軽減はもとより、仕事優先の企業風土や、家庭や企業における固定的な男女の役割分業の意識改革にも取り組む、もう一歩踏み込んだ少子化対策の必要性を強く感じているところであります。

 こうしたことから、現在、現役の子育て家庭や学生の代表、学識経験者、公募委員等で構成する「島根県少子化対策推進協議会」において、経済的支援も含めた「子育て環境づくり」、働き方の見直しも含めた「仕事と家庭の両立支援」、就職や結婚を支援する「ライフプラン応援」の三つの側面から検討いただいています。

 現段階では、育児や教育に係る費用の負担軽減、育児休業等が取得しやすい仕組みづくり、未婚化・晩婚化への具体的な方策や行政の支援のあり方などについて、様々な意見が出されているところです。

 今年九月には、提言をいただき、今後、これらの提言も踏まえながら、より効果的な事業を構築することとしていますが、検討の過程であっても実現可能なものについては採り入れながら進めていく考えです。

 また、現行の事業においても、教育・労働行政の分野や、定住施策等との連携を深め、より実効性を高めながら、少子化対策の一層の充実強化を図り、家族を持つこと、子どもを育てることに誰もが人生の喜びや、潤いを実感できる社会の実現を目指してまいります。




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