島根県二月定例県議会(代表質問)  〜 佐々木雄三 〜

本文へジャンプ 平成18年2月28日 

 自由民主党議員連盟の佐々木雄三でございます。ただ今から会派を代表して質問を行いますので知事を始め、関係部長には誠意のある答弁をよろしくお願いします。



 最初に、昭和三十八年以来といわれる、昨年末からの大雪により県内でも大きな被害が発生し、飯南町では二名の方が亡くなられました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 また、重軽傷者22名、家屋被害696棟、農林関係被害額も6億4千万円余りにのぼりました。被害を受けられた皆様方に改めてお見舞いを申し上げます。これらの災害復旧は県がリーダーシップを発揮して頂き、国・市・町との連携も図りながら、早急に行っていただきますようお願いいたします。


 さて、2006年度は澄田県政の5期目の総仕上げの年であります。

 この3年間を振り返ってみますと、「激動」の二文字が当てはまるのではないでしょうか。

 県政では、中海・宍道湖淡水化事業の最終的な決着を受けての烏取県との協調関係の構築、両湖のラムサール条約への登録、中国横断自動車道尾道松江線の三刀屋木次〜宍道間と、江津道路の開通、中国04総体の成功、産業振興に向けた米国・テキサスとの技術交流、旭拠点工業団地への矯正施設の誘致決定、市町村合併の完了。

 そして、来年度には、石見銀山遺跡の世界遺産登録や、澄田知事自身がレーゾン・デートル(存在意義)と位置付け、力を注いでこられた歴史民俗博物館のオープンなど、次代への「息吹」を感じさせる政策、出来事が実現し、あるいは予定されています。

 しかし、一方では、国、地方自治体に共通した財政難の深刻化、それに伴う地方交付税の大幅削減をはじめとする三位一体の改革、施策・事業の延期や中止、各種補助金の縮減や廃止、長引く景気の低迷と雇用情勢の悪化、公共事業費の削減、警察署や高校、県出先機関の統合・再編、県三役や県職員、県議の給与カットなどを迫られ、あるいは踏み切らざるを得ず、まさに「行財政改革」に明け暮れた激動の3年間ではなかったでしょうか。

 国、地方自治体が抱える莫大な借金を考えれば、いかに苦しかろうとも、今後も、基本的には、この歩み、流れを止めてはなりません。ただ、時代の歩みが速ければ、速いほど、激しければ、激しいほど、節目、節目で立ち止まり、今一度、自らたどってきた道を振り返り、省みながら、再び歩を進める必要があります。

 民主主義とは、国民や住民の最大公約数を追求する作業ですが、そこでの国民、住民とは今生きる人々だけを指すのではありません。先人の遺した良き伝統や慣習を重んじ、そこに込められた労苦や知恵に思いを馳せると同時に、次世代を生きる人々の幸福を念じながら、目の前に立ちはだかる課題と向き合い、最良の選択をしなければなりません。

 そう考えた時、我々がいつしか、大切な「何か」を忘れ、見失ってしまったことはないでしょうか。例えば、経済的な豊かさを追い求め、固執するあまり、国や地域など、社会を形成する上で欠かせない道徳や礼節を脇へ追いやってしまったのではないでしょうか。

 激しい時代の流れの中で泳ぎ抜くために、変化を追い、迫られ、身を削る際に、理想や志までも、そぎ落としてしまった面はないでしょうか。また、「私(わたくし)」を重視するあまり、際限のない自由とはきちがえ、先人たちが尊んだかけがえのない「公(おおやけ)」の心を置き去りにしてしまったのではないでしょうか。

 数学者の藤原正彦(まさひこ)氏は、ベストセラーとなっている著書「国家の品格」の中で、江戸時代、会津藩にあり、白虎隊も教えを受けていた日新館という藩校が掲げていた七個条の「什(じゅう)の捷(おきて)」を紹介しています。

・一つ、年長者の言うことに背いてはなりませぬ

・二つ、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ

・三つ、虚言を言うことはなりませぬ

・四つ、卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ

・五つ、弱い者をいじめてはなりませぬ

・六つ、戸外で物を食べてはなりませぬ

・七つ、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ

 藤原氏は七つ目を除いては、現代にも通じる人の振る舞いとして称賛しています。そして、その七個条の最後はこう結ばれています。「ならぬことはならぬものです」と。

 この教えには、鎌倉時代以降、日本人のひとつの行動規範だった「武士道精神」が貫かれています。そこには、慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気などが盛り込まれています。名誉を重んじ、恥や卑怯さを嫌う日本人の文化が示されています。

 そして、その後、新渡戸稲造は自ら記した「武士道」の中で「武士道は一の独立せる倫理の捷としては消ゆるかも知れない。しかし、その力は地上より滅びないであろう。そのシンボルとする花のごとく、四方の風に散りたる後もなお、その香気(こうき)を持って人生を豊富にし、人類を祝福するであろう」と述べています。

 ところが、新渡戸が日本人に古来、染み付き、永遠に崩れることはないと信じた精神構造がまさに今、揺らいでいるのではないでしょうか。その現状に、藤原氏は警鐘を鳴らし、国家や人々の品格の重要性を説いているのです。

 先のライブドアの事件をめぐり、国会やテレビ、新聞紙上で、その中心人物である堀江貴文氏が、日本を「拝金主義」に導いた張本人の一人、元凶として断罪されています。

 しかし、私には、問題の本質を突いているとは思えません。なぜなら、彼が登場し、社会がおかしくなったのでなく、「恥」や「誇り」など、日本人が育んできた古きよき伝統を捨て去り、変調を来した社会の中から、まさに彼らが生まれ、事件が起こったのであります。であるとすれば、「いいきみだ」「ざまあみろ」と言わんばかりに、堀江氏のつまずきに拍手喝さいを送るような昨今の雰囲気には、逆に危うさを覚えます。

 さらに、堀江氏の失敗を「改革」「競争」を短絡的に重ね合わせ、否定する風潮にも、首を傾げざるを得ません。あらためて述べるまでもなく、資本主義社会において、改革や競争は必要不可欠であります。

 まさに「努力した人に、報いる」ことが、我々の社会の基本であります。その上で、病気などで「努力したくても、できない人」には、政治や行政、地域社会が手を差し伸べることも必要でしょう。しかし、「努力できるのに、しない人」とは、当然、線が引かれてしかるべきであります。

 では、ライブドアの事件の本質とは、何か。堀江氏が道を踏み外した大きな原因は「手段」と「目的」の関係にあるのではないでしようか。彼は「時価総額世界一」という目標が示すように、目的に理念を欠いたがために、手段がゆがみ、最後には手段自体を目的化せざるを得なかったのであります。 言い換えれば、「心」の持ちよう、置き場所を間違えたのであります。「人の心は金で買える」とうそぶいた言葉が物語っております。何より、問題なのは、そういった風潮が社会全体に漂い、覆っていることであります。我々には、今回の事件を個人的な問題と片付けず、国、地域の問題、教訓として受け止める必要があるのではないでしょうか。

 中国の戦国時代の思想書「大学」には、心(こころ)(ここ)に在らざれば、視()れども見えず、聴けども聞こえず、食らえども其の味を知らず」とあります。しっかりとした心がなければ、身体もうまく機能しない。目を凝らしても何も見えず、耳を澄ましても何も聞こえず、食べても味が分からないという戒めであります。

 これまで述べてきたような現代の風潮、問題点は、我々が携わる政治、行政の分野、そして、この地域の有りようを考える時、通じるものがあります。

 改革が改善となるか、改悪となるかの分岐点は、澄田知事をはじめとする県執行部、県職員、そして、我々議員一人ひとりの「心」の持ちようにあります。改革の旗印が、高い理想と理念に貫かれているかにあります。そういった気概、覚悟、理想、責任、使命感を持たなければ、改革は改悪と堕して、地域の活力を削ぎ、県民に痛みだけを与えます。先人の遺産を潰し、次世代に禍根を残します。

 折しも、日本は少子高齢化の急激な進展により、いよいよ人口減社会に突入しました。予算規模も、かつてのような右肩上がりの時代は望むべくもありません。そういった「量」の減少を補うのは、「質」であります。今まで以上に、政策、事業一つ一つの質を高めていかなければなりません。この場にいる我々、県職員、そして、この地域の主役である県民の人間の質を高めていかなければなりません。金の縮減とともに、人の心が収縮してはならないのであります。

 古代中国の政治論集「管子(かんし)」に、「一年の計は穀(こく)を樹()るに如()くは莫()く、十年の計は木を樹()るに如()くは莫()く、終身の計は人を樹()るに如()くは莫()し」との言葉があります。

 一年の計画であれば、穀物を植えて育てるのが良く、十年の計画であれば、木を植えて育てるのが良い。しかし、人物を育てれば、一生の実りが期待できるとの意味であります。今に生きる者だけの自己満足に終わらせず、その場、その場を取り繕うのではなく、将来を視野に入れ、展望した先人の貴重な教えを、我々は今一度、肝に銘じながら、質問に入りたいと思います。 



 最初に5期目の仕上げとなる知事の政治姿勢について伺います

 県民の幸福を考えるうえで、今小泉首相が推し進める構造改革が及ぼす影響は、大変大きなものがあり、功罪両面が見えてまいりました。

 デフレスパイラルからの脱却、銀行の不良債権問題の処理、無駄な行政コストの削減など、経済全体としては改善しつつある面もあります。しかし、私達が住んで暮らす地方、中小企業など依然厳しい状況が続くなど、格差が顕著となり、罪の部分がより鮮明になってきております。

 この度の国会において、地元選出の青木幹雄参議院自民党会長が代表質問の中で、島根県の景気状況をみて二極分化が進行し格差が拡大していることから、地域間を超えた経済対策を求めましたが、小泉首相は地域に思いやることなく、改革の成果を地方に浸透させると言うような核心をはずす、あくまでも今の改革路線を突っ走る姿勢の答弁でありました。

 地方分権を推進していくための三位一体改革であったはずが、紆余曲折のうえ昨年十一月、一応の決着を見ました。

 しかし、その内容については、基本的な国と地方の役割分担が充分に議論されず、地方と国との理念の共有も充分に図られず、数字合わせ的な3兆円の税源移譲となりました。新たな国と地方の在り方を考えながらの改革であったはずですが、国家の将来像を描ききれずに、目先の財政問題や各省庁の権益が優先され、地方が求める真の分権とは、異なるものとなりました。

 知事はこの第一期改革をどう評価しておられるのか伺います。   

 2007年からの、第二期改革では三位一体改革の総仕上げと言われる、地方交付税が焦点になるわけです。国にとっては、一般会計歳出のほぼ2割を占め、国の財政再建を進める上で、さらに簡素化され、削減されるのは必至であると思われます。

 地方分権の推進は、同時に地方に財源を保証する制度の整備が前提であります。過度な地域間競争から地域格差が生じ、地域が疲弊するようなことがあってはなりません。

 地方が活性化することで国は栄えると昔から言われます。あの260年余り続いた江戸幕藩体制は、典型的な地方自治のかたちであったと言われております。各藩の独自性はもとより、幕府政治の中枢にいる老中達は各藩の藩主であり、政策決定には各藩の成功例・取組例が活溌に論議を交わされ、その中から様々な施策が行われたようであります。

 地方が元気でなければ、いずれ国も衰退化するのは必至であります。ここで本当に地方が自立し、国家のありように貢献できる制度を考えなければならないと考えます。

 今までの地方交付税制度が全て正しいとは思いませんが、地域間の財源調整と言う機能は、地方自治にとって必要不可欠なものであります。

 地方で暮らす人間は地方を荒廃から守り、人材を育て、食糧を供給するなど、都市を支える基盤の部分を担っております、当然そこには経済合理性のみでは整理が付かない部分もあり、そこでは全体的な財源の配分が必要になってくるわけであります。

 今年の七月には本県において全国知事会が開催されますが、一方的な経済原理での地方と都市の配分が行われるならば、断固反対の意を示すべきであり、地方の重要性を認識し、この場でもきちんと地方の立場を述べる必要があると思いますが、知事はどのようにお考えか伺います。

 また、県は、既に中期財政計画で血の出るような改革を実施していますが、更に交付税が削減された場合には、持ちこたえることが困難ではないかと考えます。

 今後の第二期改革に向け、知事はどういう見通しを持ち、国に対して臨むつもりなのか伺います。                    


 本県の将来を考えてみるとき、県は行政として何をすべきかを今一度見つめ直すべきではないでしょうか、行政は住民に責任を持つものであり、しっかりと根を張って施策を進める事が重要であり、しっかりと根を張っていくためには、絶えず複眼的に状況を見極め島根が目指す目標に向け、スピードが必要なものはスピードアップを図り、じっくりと行う必要があれば時間をかけて行う。県民生活の安定と向上に向けた、これからの県行政を考えていく必要性があると考えます。

 今、政府が進める痛みを伴う改革の流れ、大きな経済原理の流れの中で、島根県が進むべき方向はどうあるべきなのか、改革・競争の名の下に、強者と弱者、勝ち組と負け組という枠組みの中で競争に身を置くのか、それとも新しい価値観の創造の下に、穏やかで、県民が幸福感を持って悠然と過ごす競争社会とは一線を画し、かつ、地域のコミュニティーが存在し、互助が機能する安心感と余裕のある社会を目指すのか、知事はどのようにお考えでしょうか、目指す方向および島根県の将来像をお聞かせください。     




 次に行政改革・地方分権についてであります。

 島根県の財政危機が発表されて以来、議会では様々な取組をしてまいりました。行財政、地方分権、行政改革などの特別委員会を立ち上げ、集中的に審議を行い提言をいたしました。平成十五年六月に設置された「地方分権・行財政改革調査特別委員会」では二十一回にわたる調査と四回の中間報告を行いました。

 その後、県でも中期財政改革基本方針、新行政システム推進計画などを打ち出され、賢明に取り組まれているところであります。

 職員定数の削減目標を500人から1,000人に前倒しされました。各種手当ても見直しが行われ、職員給与については、全国的に見ても最も高い率でのカットを行い、結果としてラスパイレス指数は全国の都道府県で、最低の給与水準となるなど、着実に総人件費の抑制がはかられております。

 しかしながら、本県の財政状況、県民が見る目、いずれも大変厳しいものがあります。その信頼を得て現状から脱却していくためにも、この改革には終わりがないことを肝に銘じておく必要があります。

 現在取り組まれている「内なる改革」は道なかばであり、まだ残る諸手当等の見直し、地方公営企業の経営健全化、独立行政法人制度の活用など、残されている課題も多くあり、それらを含めて改革のスピードアップを図っていく必要があります。知事はこの間の内なる改革に対しどのような評価をされますか、また、これから引き続き地方公営企業の経営健全化、独立行政法人制度の活用などを含め、改革に取り組まれる決意を伺います。                  


 改革の旗印の下、その実現に向かって職員が一丸となって、この厳しい状況を乗り切っていくためにも、自らが考え、自らが行動していくという職員の意識改革と、それが実行できる組織の柔軟化が求められているのではないでしょうか。

 職員の意識改革でありますが、給与の引き下げが先行し、予算の縮小という中で、職員がちぢみ指向となってはなりません。職員個々がこの難局を乗り切るために萎縮することなく大胆に英知を絞り、前向きに最大限のやる気が引き出せるような体制と、一人一人の職員の能力を一割でも二割でも向上させるための制度を早急に検討すべきではないでしょうか。

 行政運営には人が重要であり、能力評価がきちんと反映する職務と給与の関係、行政職でも専門的な人材を育成するシステム、公募制、希望降任制度の導入など、県民の視点を取り入れ、職員が生き生きと仕事ができるような取組みを、全庁挙げて行う必要があります。本県でもこのような視点での制度を早急に検討・導入すべきであると考えますが、いかがでしょうかお考えを伺います。            


 組織の柔軟化でありますが、この間県庁内の組織は抜本的な改革はなされていない印象があります。今後ますます動きが早まる社会経済状況に対応していくためにも、選択と集中を進める上でも、組織は必要に応じて拡大強化、あるいは縮小や、他と統合するなど行政ニーズに応じた柔軟なサービスの提供体制、つまり組織の在り方が求められるのであります。

 現在、県では行財政改革の中で出先機関の整理統合が行われ、機関、人員とも大幅に減らされております。市町村合併等の状況を考えますと、従来からの出先機関の機能が大幅に削減されることは必然だと考えます。

 しかし、これからの県行政を考えたとき、各地域の情報を細かく得ていくことが最も重要なことだと考えます。

 県が進める地域振興・活性化に向け、地域が人材・資源・文化等の特長を活かし、地域の活性化を図る。その支援のために、職員個々がしっかりとアンテナを張り、地域の情報を得て、それを施策に反映していく。その様な県民の視点に立った、これからの島根県にとって、最も良い組織のあり方を検討して頂きたいと思います。

 正に知事が言われるところの、本当の意味での「現場主義」を実現していくために、柔軟で県民ニーズに即応できる、将来に向けた組織運営の基本的な考え方と取り組みについて伺います。




 次に市町村合併についてであります。

 本県でも平成十六年十月に合併した安来市を初め、53市町村が合併して21市町村となりましたが、合併に伴う新たな課題や問題点も浮き彫りになってまいりました。

 人口19万6千人余の松江市と、人口725人の知夫村のように、市町村間の規模の格差が以前より広がったこと、また、同一市町村の中でも、中心部と周辺部の格差の問題も懸念されております。

 知事は、合併後の県内の市町村の姿をどのように評価されますか、伺います。



 権限移譲もなかなか進まないようでありますが、受入側の市町村の要望を充分に聞いた上で、早急な対応を行う必要があります。問題点や課題を整理され、人的な支援も併せ当面の支援策を示した上で、権限移譲を進めるべきだと考えます。

 その上で県と市町村のそれぞれの役割を明確にし、真のパートナーシップを構築しながら、厳しい県財政の立て直しに向けて、市町村とも一体となった取組が必要ではないでしょうか。市町村への権限委譲の状況も含め、今後の県と市町村の在り方・枠組みについて伺います。




 次に、自由民主党議員連盟が、県政の重要課題である「医療」「教育」「雇用」の三つの問題について、集中的に調査をし、提言を行った三つの項目について伺います。

 まず医師確保についてであります。本県においても隠岐病院の産婦人科医問題から端を発し、中山間地域の病院勤務医が不足している状況、都市部においても小児科・麻酔科・産婦人科医などの偏在による、医師不足の実態が浮かび上がりました。

 これは全国的な問題であり、島根県からこの問題の解決策について提案し、全国知事会、議長会を通じて要望が行われました。

 厚生労働省でもこの解決に向け、法律の改正を行い、今国会へ提案することとしておりましたが、直前で提案見送りとなりました。一部問題も指摘されているようですが、今後の国への働きかけはどのように考えておられるのか伺います。

 また、医師確保を進める上で、専門組織の設置、大学との連携等を提言いたしましたが、今後の取り組み状況を伺います。併せて医療機関の連携、患者の搬送体制の充実についても伺います。



 次に学力向上についてであります。学校の週五日制、ゆとり教育、総合学習の導入などから教科の時間数が減少しております。また、家庭での学習時間の減少、基本的な生活習慣が身に付いていないなど、子供達の学習環境は大きく変化してきております。

 その中で、大学入試センターの試験結果で全国的にも下位にあることなどから、本県の児童生徒の学力低下が心配されております。しかし、県内には判断するデーターもないことから、小中学生全員に学力調査と生活実態調査の実施、教員の指導力向上のための体制整備、授業時間数の確保など島根県の教育力の向上、子供達の学力向上について提言をいたしました。

 一斉学力調査の実施内容についての基本的な考え方と結果の活用方法、この調査結果から、指導が必要と思われる教員に対しての指導体制、今後の中高一貫教育への取り組みについて伺います。




 次に雇用問題についてであります。

 活力と働きの場を生み出す産業の展開が言われる本県において、県内産業の活性化と雇用の場づくりが重要であります。全国的には経済状況は回復傾向にありますが、本県では依然厳しい状況が続き、有効求人倍率も0.8倍程度となっております。

 その中でも求人と求職のミスマッチが問題となっております。年齢、職種、労働条件など理由はありますが、中高年層での年齢、若年層での職種による率が高くなっております。

 このミスマッチを解決すれば失業率の改善につながることから、ハローワーク・県・定住財団等の連携強化、「UIターン希望登録者名簿」を使った無料職業紹介などについて提言をしたところであります。

 本県の今後の雇用状況をどのように予測され、どのように対応して行かれるのか伺います。

 また、ニート、フリーター等の若年者の雇用対策や雇用のミスマッチなどの課題に対し、具体的にどのような対応をされるのか、併せて伺います。




 次に、産業振興についてであります。

 県では、新産業創出に向けて、「プラズマ利用技術」、「新機能材料開発」など五つの研究開発プロジェクトが推進されており、テキサス州との技術交流を含めて、来年度以降も引き続き取り組まれることとされております。

 県内産業振興のためには、新産業創出に向けた研究開発の取組にあわせて、新しい技術や新産業に対応できるよう、県内企業の技術力・経営力を強化することが必要であり、そのための支援が求められております。

 そこで、新産業創出に向けた来年度の具体的な取組と、県内企業へどのような形で普及させていくのか、その方法と支援策について伺います。




 次に、農業の担い手育成についてであります。

 国では、平成十七年に「食料・農業・農村基本計画」が策定され、この導入に向け、「経営所得安定対策等大綱」が決定されたところであります。

 大綱では、「担い手に対して施策を集中する品目横断的経営安定対策の創設」により、担い手の育成を図ることとなりました。

 そこでまず、この大綱をもとに育成しようとする担い手である、経営規模4ha以上の認定農業者や、経営規模20ha以上の集落営農への支援について、県の考えを伺います。

 また、平均水田面積が小さい中山間地域などの集落で、規模拡大が困難な地域は、経営規模要件が緩和されることとなりました。

 そこで、経営規模要件の緩和を受けて、地域の実情に見合った担い手育成に、今後どう取り組もうとされているのか伺います。




 次に県立中央病院についてであります。

 県立中央病院については、本県の中核基幹病院として重要な位置付けにあり、この病院の経営は県民の医療サービスに大きな影響を与えることから、医療サービスの向上と経営安定の両立を図る必要があります。

 今後の医療ニーズの多様化、医療の高度化、医師・医療スタッフの充実など諸課題への対応・解決に向けて、的確で素早い現場での判断を行うためにも、地方公営企業の全部適用化、地方独立行政法人化などについても検討すべきではないでしょうか。

 今後とも、県立中央病院は、救命救急、総合周産期医療、中山間地域や離島における地域医療など、政策的な分野での県民の医療体制を確保する中核病院として、責務を果たすことが求められます。

 また、一方では、県財政の大変厳しい状況の中で、自立的な経営も求められている訳ですが、このような状況の中で、県立中央病院の担うべき役割と今後のあり方についての考え方を伺います。


 次に、ガン対策についてであります。

 自らもガンと闘い、全国「がんと共に生きる会」の会長として、患者の立場からガン治療の地域格差の是正など、ガン治療改革のために最後まで力を注がれ、昨年亡くなられた佐藤氏の御活躍により、その後の国のガン対策も大きく動き始めております。

 佐藤氏が強く求めておられた効果の高い未承認抗ガン剤の早期承認、を始めガン専門医・ガン医療専門スタッフの育成を重点的に行う体制の整備、地域ガン医療拠点病院の指定など積極的に進められております。

 そこで、本県におけるその後のガン医療に対する動向はどのようになっているのでしょうか、また県立中央病院での取組状況はどのようになっているのか伺います。          


 次に、専門高校についてであります。

 専門高校の再編について基本的な考え方をお聞きします。専門高校は卒業後の進路と密接なものがあり、受入側の産業界からの視点も重要であります。産業界は若い優秀な働き手を求めております。それを単に生徒数という単一の物差しだけで統廃合などを考えることはいかがでしょうか。

 専門高校の卒業生は産業界が発展し、本県経済基盤を確立していくための即戦力となる、重要な人財であります。真に産業界が求める人材を育てる場として、専門高校はあると思うのであります。

 現場の校長に権限を移し、地域産業界の動向、要望などが充分に取り入れられ、本当に地域産業界に受け入れられる高校とすることが、重要だと考えます。

 専門高校の持つ意味と基本的な再編の方向について伺います。また、今後再編計画の実施にあたっては、県関係部局・受入業界とどのような形で検討協議をされるのか伺います。




 次に、県民の安全についてであります。

 平成十六年六月に「国民保護法」が成立しましたが、これを受けて、県は、「県の国民保護計画」を策定、本年一月に閣議決定をされました。離島や原子力発電所を抱えている本県では、計画を実効性のあるものにするために様々な訓練が必要だと考えますが、県はこの保護計画を基に、どのような訓練を行い、県民をどう誘導し、県民の安全を確保されるのか伺います。

 昨年七月の県東部の集中豪雨では、合併直後ということもあってか、本庁と支所間で連絡が取れなくなるなど、防災体制の不備も顕在化しました。今後各地でこうした事態の発生を防ぐための県の基本的な考えを伺います。また、危機管理を行う上で、昨年の豪雨災害を踏まえ、市町村との連携をどのようにされるのか伺います。                        




 次に、プルサーマル計画についてであります。

 中国電力から昨年九月、島根原子力発電所2号機において、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用に係る事前了解願いが提出されました。

  これを受けて県では、「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」を設置し、必要性や安全性について検討をするとともに、県議会の意見、専門家の見解などを総合的に勘案し、地元松江市とも協議の上で可否について判断するとされております。そこで、懇談会での検討状況と、知事判断にあたっての今後の進め方について伺います。                    




 次に、児童生徒の安全対策についてであります。

 最近、子供が被害者となる凶悪犯罪が頻発しております。昨年は、広島、栃木、京都などで子供を対象とした卑劣な犯行が発生しております。

 本県でも、不審者情報を良く耳にいたしますし、大事には至らないまでも、児童・生徒に対する事件も聞きます。

 児童の安全確保のためには、学校、警察、地域が一体となって取り組む必要がありますが、やはり制服警官やパトカーによる目に見える形での、パトロールが重要であると考えます。

 本県での児童生徒の安全を守り、このような事件の発生を未然に防ぐため、地域を含めた取り組み状況と、県内の子供を狙った犯罪の状況について伺います。




 次に、高速道路整備についてであります。

 本県の高速道路は、既に新直轄方式により整備が進められることとなっている、中国横断自動車道尾道・松江線、この度、有料道路方式により整備が決まった山陰自動車道宍道〜出雲間について、今後とも、速やかな全線の供用開始に向けた取り組みを進める必要があります。

 現在、山陰道出雲以西においては、未だ74qもの区間が未事業化の状態であり、整備率も約47%と全国レベルより低く、県内外を結ぶ高速交通網としての機能が十分に発揮されておりません。

 公共事業費が抑制され、また道路特定財源の見直しに関する検討もなされており、県内の高速道路整備への影響が懸念されるところですが、今後もあらゆる手法を用いて、整備を進めていかなければなりません。知事は、今後の本県高速道路整備への取り組みについてどのようにお考えなのか伺います。

 また、高速道路整備効果の地域波及と、今後の整備促進のため、さらなる利用促進を図ることが必要であると思われます。そのためには、一般有料道路にも高速自動車国道と同等の、割引制度が適用されるべきと思われますが、県の考えを伺います。                                




 次に、竹島の領土権確立に向けた自治体連携について伺います。

 平成十七年二月定例会で「竹島の日を定める条例」を議員提案で制定してから、一年が経とうとしております。

 澄田知事は、「領土問題は国家間の問題」として、政府に対しては、国際司法裁判所への提訴を含めた外交努力を求めておられますが、これまでの政府の対応は、やや腰の引けた対応と言わざるを得ません。知事は竹島問題への政府の姿勢についてどのような感想をお持ちか伺います。

 北方領土問題では、政府や関係自治体が、八日に返還要求全国大会を開催するなど、同じ領土問題でも政府の対応には差が見受けられることも事実です。

 国内ではこのほか、東京都小笠原村の沖ノ鳥島、さらに、日本・中国・台湾が領有権を主張している沖縄県石垣島の尖閣諸島など、国境の最前線をかかえる自治体があります。国に対して毅然とした対応を求めて行く上でも、同じ領土問題を抱えた自治体同士が連携し、国に課題解決を求めていく必要があるのではないでしょうか。

 七月には松江市で全国知事会が開催されますが、主催県として、東京都、北海道、沖縄県に呼びかけ、共に領土問題を抱える自治体の現状を全国に発信すれば、国内世論の喚起に大いに貢献すると考えます。

 さらに国に対しての要望などを共同で行うなど、連携を強化していく絶好の機会ではないでしょうか。

 竹島は国土であると共に、島根県の県土でもあります。領土問題を抱える自治体としての関わり方を含めて、知事の所見を伺います。




 最後に、人口減少対策についてであります。

 昨年の国勢調査の結果では、本県人口は五年間で約二万人が減少しました。また、最近の人口動態調査では、遂に日本が人口減少社会を迎えたとのことであります。

 全国でも先頭を行く、少子・高齢社会、人口減少の本県であり、全国のモデルとなる、新たな社会づくりを目指す事も重要でありますが、やはり人口減少への対策も必要であります。

 人口減少対策としては、まず、少子化対策が重要であり、本県も重点プロジェクトとして取り組みを強化されていますが、他県においては、直接的な経済的支援策を講じるなどの動きがあります。今までの施策によりどのような効果が現れているのでしょうか、本県でもさらなる具体策の検討が行われるのか伺います。

 また、人口減少に対応する手だての一つに、交流人口を定住につなげていく事が考えられます。

 最近マスコミにもよく取り上げられる、隠岐の海士町では行政と地域が一体となった受入体制と、訪れた方と地域の人達との交流の中から定住が実現し、Iターン者が今年度80名を超えるようであります。

 出雲神話・石見神楽・隠岐民謡などの優れた歴史、文化、自然があり、それを日常に持ち、全てを含むゆるやかな時の流れに生きる私達の幸福感、これをどう発信していくのか、本県でも田舎ツーリズムを積極的に進められ、地域の良さを活かした個性的な取組みが各地で始まっております。

 まず島根に来てもらう、そして良さを実感してもらう。本当に島根を理解しようとする、本気で島根を感じたい人達を招き、定住を決意してもらう。

 そのためには、地元に住む人はもとより、すでにUIターンされた方々とも連携しながら、地元の人間では気づかないような島根の良さを、全国に発信していくことが大切であります。

 田舎ツーリズムの状況などを踏まえながら、UIターン者と連携しながらの情報発信、またその方々の受入体制など、交流人口を定住につないでいくためにどのように考えられるのか伺います。




 おわりに、一言申し上げます。

 冒頭に申しましたように、日本人の心はゆらいでおります。

 私ども議員は、県民が幸せになるために、島根県の将来を国家の在り方と重ね合わせながら絶えず考え、明日の世代を担う子供達が日本という国と、生まれ育ったふるさとに、自信と誇りを持って生きていくための、規範となるべく道筋を進んでいかなければなりません。

 今後とも、正しい改革を進める姿勢をゆるめることなく、一時(いっとき)痛みを伴うかもしれないが、将来には夢が持てる島根県を築いていかなければなりません。

 これからも自民党議員連盟は、国・県という大局を見つつ、県民生活のあらゆる所に目を配り、知事に対して政策提言を行ってまいります。

 言い古された言葉ではありますが、議会と執行部は車の両輪であります。議会と執行部が総力を挙げて、この難局を乗り切っていく気概と重要性をあらためて申し述べ、私の質問を終わります。


           
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                           知事答弁

                       各部長答弁