各 部 長 答 弁
本文へジャンプ 平成19年6月18日

                  
                  小林農林水産部長

(問)農業生産の基盤であり、かつ県土の保全や災害防止に多大な役割を果たしている農地の維持、特に耕作放棄地対策をどのように考えているのか伺う。
    

(答)耕作放棄地対策についてであります。

 本県の耕作放棄地は、農家の減少や農業従事者の高齢化などから増加しており、二〇〇五年農林業センサスでは、面積は六千六百ヘクタールで農地の十八パーセントを占めております。

 ご指摘のとおり、農地を適切に維持・管理していくことは、農業振興はもとより県土の保全という観点からも重要であり、これまでも、新たな担い手として集落営農組織の育成や企業の農業参入の促進、農地の放牧利用などを推進し、農地の有効利用と耕作放棄地の解消を図ってきたところです。

 現在、国においては、経済財政諮問会議などで、耕作放棄地対策を含めた農地政策全般の改革について議論が行われております。また、この五月、農林水産省は、農業振興上重要な地域の耕作放棄地について、今後五年を目途に解消する方針を打ち出し、先般、県に対して、市町村に解消計画の策定を働きかけるよう協力依頼があったところです。

 県としましては、こうした国の方針を踏まえ、市町村や農業委員会が耕作放棄地の分布や発生要因などの実態を把握し、その結果に基づいた実行性のある解消計画が策定されるよう指導するともに、計画策定に資するため、県内外の先進事例等を収集、提供するなどの支援をして参りたいと考えております。


(問)木材が安定的に、生産・加工・流通・消費される仕組みづくりについて、具体的にどのように進めていくのか伺う。

(答)次に、木材が安定的に生産・加工等される仕組みづくりについてお答えします。

 まず、生産の取り組みにつきましては、森林組合等が中心となって施業や経営の集約化を行い、作業路網と高性能林業機械を活用した低コスト生産システムを導入する、木材生産団地化を推進しております。

 合わせて、需要に即応できるよう森林資源情報を集約し、需要者側との情報の共有化を図ります。

  また、国有林と民有林との間での一体的な共同施業団地を設定し、効率的な生産体制を整備していきます。

 加工面につきましては、高品質かつ効率的な製品供給を図るため、乾燥材供給体制の強化、JAS認定支援、製材加工部門の協業化等を推進します。

 流通の仕組みづくりにつきましては、一昨年締結した合板工場と川上との間の出荷協定や、県域を越えた広域連携等の、安定供給体制の確立に向けた取り組みを実施します。

 消費の拡大については、「しまねの木の家」等県産木造住宅の推奨やPRを支援するとともに、金融機関の協力を得て優遇金利での住宅融資等を展開しております。

 また、県外への販路拡大の取り組みも進めているところです。

  以上の生産から消費までの取り組みを有機的に結びつけて、地域ごとあるいは広域的に展開することにより、山元に収益を還元し森林を再整備することのできる、林業の循環システムの構築を目指して参ります。



(問)本県の漁業に係る人材確保の取組の現状と今後の取組の考え方について伺う。

(答)次に漁業における人材確保の取り組みについてであります。

 島根県の新規就業者数は、ここ数年、一〇数名から三〇名程度で、平成一八年度には一三名でありました。

 県においては、人材確保の取組として、JFしまねの中に設置されている漁業就業者確保育成センターが行う漁業のPR及び求人情報の提供に対して支援しているほか、長期漁業研修の実施の支援、漁船等の購入資金の融資を実施しています。

 また、島根県独自の支援措置として、漁業開始時の経営の安定化と定着の促進のため、

研修後に自営漁業を開始する人に対し、漁業経営開始後の一年間、毎月一五万円を貸付け、五年間自営漁業に従事した場合は償還を免除しています。

 また、ふるさと島根定住財団が、市町村等が行うUIターン者用の住宅の修繕を支援しているところです。

  新規就業者の確保は、漁業の振興と地域の活性化のために重要であります。県としましては、今後とも新規就業者の確保に向け、市町村、漁業協同組合等と連携を図り、各般の支援が最も効果的に実施されるよう努めてまいります。






                             
                              山根商工労働部長

(問)観光入り込み客の正確な把握や来訪者の満足度調査、都市部での需要調査など現状把握やデータ分析を行うことが、必要不可欠であり、県が担うべき第一の役割であると考えるが、所見を伺う。

(答)観光の現状把握やデータ分析についてお答えします。

  観光施策の立案に当たり現状把握や分析は必須であり、それらを県民が利用できる形で整備することは県が担う役割であると認識しております。

  現在、観光入り込み等の把握に当たっては、社団法人日本観光協会の統一基準に沿った「観光動態調査」を毎年行っております。

 動態調査だけでは不足する情報について、たとえば大都市圏のマーケティングや県内観光経済波及効果については、数年前に調査を実施して把握を行いました。

 新たに調査が必要なものや、調査頻度を高める必要があるものについては、今後速やかに実施し、的確な現状把握やデータ分析に努めてまいります。






                              
                               法正健康福祉部長

(問)医療制度改革関連法に係る医療費適正化計画の策定や療養病床の再編成などについて県の対策を伺う。


(答)医療制度改革への対応についてお答えいたします。

 高齢化が急速に進展し、医療費が増加する状況の中で、国民皆保険制度を堅持し、将来にわたり持続可能なものとしていくため、国は医療制度改革を進めております。

 療養病床の再編成と地域ケア体制の整備、生活習慣病対策、医療費の適正化など、県として取り組むべき課題は多岐にわたります。

 まず療養病床の再編成においては、病床転換に伴い高齢者が適切な医療・介護サービスが受けられないといったことのないよう、それぞれの地域ごとのケア体制を確保することが大変重要な課題であります。

 また生活習慣病対策においては、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健診及び特定保健指導の実施が新たに保険者に義務付けられたところですが、この実施体制の確保が喫緊の課題であります。

  そして医療費の適正化は、これら療養病床の再編成と生活習慣病対策の取組みを通じて、医療費の伸びの抑制を目指すものであります。

 この地域ケア体制の整備と医療費適正化の二つの課題を中心にご議論いただく場として、このたび外部の有識者の方々からなる医療制度改革有識者会議を設置しました。今月五日に開催した第一回の会議においては、今後検討を進めていくうえでポイントとなる大変貴重なご意見を頂いたところです。

  県としましては、医療制度改革への対応が、国の示す一律的な数値目標に基づくものではなく、地域の実情を踏まえた実効性のあるものでなければならないと考えており、この有識者会議だけでなく様々な機会を通じまして、医師会や市町村など関係者の方々の意見を十分に聞きながら、適切な対応ができるようしっかりと取り組んでまいります。(健康福祉部長)


()拠点病院の設備の充実、腫瘍内科医等の人材の育成、拠点病院の連携、国立がんセンターとの太いパイプとの連携などのがん対策に係る課題を踏まえた取組の方向性を伺う。

()次に、がん対策についてのご質問にお答えします。

 がん医療水準の向上は、がん患者や家族が最も望んでいることであり、待ったなしの状況であると認識しております。

 「地域がん診療連携拠点病院」の機能強化に関しては、抗がん剤の投与などの薬物療法の充実が急務であり、今年4月までに県内6ヵ所全ての拠点病院で通院患者が専用ベッドで治療を受ける外来化学療法室の整備が完了したところです。

 また、国立がんセンターとの連携については、これまで拠点病院から計5名の内科・放射線科の医師が研修派遣されたほか、このほど、島根大学医学部腫瘍センターと国立がんセンターとの間で、がんの組織診断が行える遠隔画像診断システムが導入されたところであり、既にこうした取り組みがすすめられているところです。

,BONT size="+1"> 今後の方向性については、まず、各拠点病院において、がんの専門的な診療を担う医師、看護師等の医療スタッフの充実を図ることが重要であり、このため本年度から、国立がんセンターへの研修派遣に係る支援措置を講じたところです。

 さらに、県内6ヵ所の拠点病院それぞれの特徴を生かした役割分担の検討をすすめるとともに、今後選定する「都道府県がん診療連携拠点病院」と国立がんセンターとを結ぶ情報ネットワークの活用などを通じて、最先端の治療を行っているがんセンターと県内の拠点病院との連携強化をすすめることとしております。

 このような重層的な取り組みをすすめることにより、一刻も早く、本県におけるがん医療水準の向上を図るとともに、中長期的ながん対策を確立するため、今年中に「がん対策推進計画」を策定することとしております。






                            
                            中川病院管理事業者

(問)医療の提供体制の充実は必須の課題であり、その一つとして「七対一」看護配置の導入を早期に目指すべきと考えるが、所見を伺う。

(答)県立中央病院への七対一入院基本料、いわゆる「七対一」看護配置の導入についてお答えします。

 入院患者七人に対し、一人の看護師を配置する、いわゆる「七対一」看護配置は、急性期病院において、従来の「十対一」看護より手厚い看護体制を敷いている医療機関を診療報酬上評価すると同時に、急性期の医療機関の在院日数を短縮するとの狙いから導入されたものと認識しています。

 県立中央病院では、現在、「十対一」看護配置の体制となっていますが、この「七対一」看護配置に係る基準が新設された昨年の診療報酬改訂を受け、急性期医療を担う医療機関として、県民に良質な医療を提供するためにも導入が必要と考え、新たに策定した「病院事業中期計画」に明示しました。しかし、導入に当たっては、看護師を大幅に増員する必要があること、また、来年四月に診療報酬改訂が予定されていることなどから、実施時期については慎重に見極める必要があるとの考えでありました。

 しかしながら、この「七対一」入院基本料が設定されて以降、その実施を目指す大都市の医療機関などが全国から看護師を大量に採用したことから、地方の看護師不足に一層拍車がかかるといった事態が全国各地で発生し、大きな問題となっています。

 県内においても、松江赤十字病院が既に「七対一」の看護配置を実施しているほか、多くの医療機関で実施又は実施が決定され、看護師の確保は医師の確保と同様それぞれの医療機関の至上命題となっています。

 こうした状況の中で、県立中央病院では、慢性的な看護師不足に加え、他の医療機関の「七対一」看護配置実施の影響もあって、この四月以降、「十対一」看護さえ維持できていない状況が継続しています。病院独自に経験者看護師の採用試験を実施したり、関西や中国地方の看護師養成機関を訪問して受験を要請するなど懸命な努力も行っていますが、このまま看護師が確保できないといった事態が継続すれば、急性期の医療機関として、県民に良質な医療を提供することが困難となることも危惧されます。

 私としては、こうした昨今の状況を踏まえますと、一刻も早く「七対一」看護配置の導入を決定し、諸準備を進めて行くことに躊躇すべきではないと考え、平成二十一年四月を目途に導入することを決断しました。

 既に、具体的な検討作業を進めていますが、何よりも医療の質や安全性の向上を基本におき、急性期の医療機関として必要な病棟の再編や病床の見直しなど残された課題を解決し、必要最小限の増員によって、「七対一」看護配置を実現する考えでいます。 





                             
                              加松総務部長

()この度の不適切事案への県の対応状況及び再発防止策について伺う。

(答)原子力安全対策についてお答えします。 県は、この度の島根原子力発電所における不適切事案の報告を受け、安全協定に基づき松江市と合同で四月十七日から十八日にかけて立入調査を行い、概ね報告どおりであることを確認しております。

 また、四月二十七日には、再発防止に全力をあげ、その取り組み状況を県民に具体的かつわかりやすく広報するよう中国電力に対して申し入れを行っております。

 再発防止対策については、五月二十一日に中国電力から、実施内容と目標時期を定めた行動計画の報告を受けており、その実施状況について適宜報告を受けることとしております。

 県としましては、今後、国の監督の状況も注視しつつ、中国電力から報告を受けるとともに、必要に応じて立入調査を行うなど、中国電力の行動計画の実施状況をよく確認していきたいと考えております。