県の組織機構のあり方

 近年、県政の課題に対して政策主導型の行政運営や迅速な意思決定、横断的施策の展開が求められるようになっており、県政全体の政策企画や地域振興策、産業振興施策に係る組織機構の強化を早急に進めることが求められております。

 特に、農林水産部の基盤整備部門と土木部の組織の一元化は、厳しい財政状況下、限られた財源で重点的、集中的に社会基盤整備を図るために必要なことでありますが、県民の理解が十分に得られているとは言い難く、現時点においては時期尚早と判断したところであります。

 しかしながら、産業構造や社会情勢の変化に応じた新しい組織のあり方が求められていることは否めないところであり、地方機関における基盤整備関係事業の一体的な執行も含め、農林水産部に対して、引き続き事務事業の執行方法や執行体制について議論、検討を行い、存亡の危機にある島根の農業の今後を展望し、自ら改革されるよう強く要望するものであります。

 地方機関のあり方については、平成8年10月の島根県地方分権・行財政改革審議会の最終答申において、地域所管型地方機関の基本的な配置は7箇所が適当であるとの答申があったところでありますが、土木建築事務所については、依然として7事務所以外に広瀬、仁多、津和野の3土木事務所と大田土木建築事務所が、そして、匹見と六日市に出張所が置かれており、また、安来、仁多、掛合、大田、津和野には旧農業改良普及所が農林振興センター地域農業普及部として単独設置されているなど、支所、出張所、分室等の統廃合がほとんど進んでいない現状であります。

 市町村合併の動きが著しく進む中、合併後の市町村の状況を踏まえ、土木建築事務所7事務所化に向けて、当面、3つの土木事務所の事務部門の統合等から段階的に進めるなど、具体的検討を早急に始めるべきであり、支所、出張所、分室等についても、近年、時間距離の短縮、情報化の進展から設置の必要性について十分な検討が必要であります。

 また、本県に11ある試験研究機関には毎年度多額の事業費と人件費が投入され、様々な研究開発が行われておりますが、実態として県民が期待する効果を挙げているのか見えにくいところがあります。

 試験研究機関のあり方については、早急に外部機関も参画した評価体制を確立し、結果を公表するとともに研究成果を検証し、生産につながらない研究の見直しやそれに伴う人件費、事業費の削減、さらには研究機関の統廃合を含めて検討を進めるべきであります。