にんにくさん
「子猫ちゃんにシビレた15日間。」

 どういう巡り合わせか、生後2ヶ月半の痩せこけたノラ猫を預かることになった。
アパートなのでペットを飼うことは禁じられている。
でもまあ丁度近いうちに取り壊しということで少々壁をガリガリやられても貸主の迷惑にはならないだろうという推測があった。

 三十過ぎの女をシビレさせた子猫ちゃんの特徴
   ・ちょっぴり幅広のかわいいお顔
   ・からだ全体は黒っぽく、口元からお腹にかけてと先の方だけ
    ちょこんと白い小さなかわいいお手々
   ・子猫特有のかすれた弱々しい、しかし、かんわい〜いお声
   ・手の中で眠る時の小さな小さな息遣い

ほとんど毎晩添い寝してました。
えぇ、えぇ、最後の三日は子猫ちゃんの方に飽きられちゃって、こっちの方が「一緒に寝ようよ。」ってコタツの布団をガジガジっちゅう感じっすよ。
恥ずかしいけどメロメロだったぜ子猫ちゃん!

 現在、幸せなことに子猫は私の友人宅に飼われている。
友人だもの、人柄は知ってる。ラブリーだ。
家だってこっちが居つきたいくらいの心地よさ。
お釣りが来るくらい何の問題もない。
会いにも行ける。
なのに何だろうこの物足りなさ。

猫ってかわいい。膝に乗ってくる時のソフト感だろうか。
はたまた餌をねだる時の、いわゆる「猫なで声。」だろうか。
「借りてきた猫。」だとか、「猫のように喉を鳴らす。」だとか「甘える。」だとか、とにかく騙されそうなほどいとおしく思えるけど、気をつけろよってな人間に対する言葉がある。
私は間違いなくまんまと騙されちゃうぞー!
子猫ちゃん、幸せな時をありがとう。
そして飼い主の友人へ。
―小姑みたいにならないように気をつけて、また会いに行くよ。一晩二晩なら、安心して預けて頂戴。
ちゃ、ちゃ、ちゃんと返すから〜!

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